「泰明小学校アルマーニ騒動」の根底にある、アイテム主義という時代錯誤。服飾の専門家が一刀両断

時代が求める2つのコーディネート視点

 コーディネートという言葉から色合わせを連想する方が多いかもしれません。確かに、スーツの場合、シャツとネクタイの色合わせを調整することで全身のバランスは整いました。
森井良行氏

森井良行氏/服のコンサルタント。モットーは「プロの目線でユニクロも好印象!」

 例えば、色黒の方であればピンクのネクタイも似合うことでしょう、また、色白の方であればブルーのネクタイが似合いやすいと言われています。いずれにせよ、カラフルな色のネクタイは白シャツ&ダークスーツに映えます。逆に、少し明るめのグレースーツの場合、濃いネイビー色のネクタイを合わせることで、全身の印象がグッと引き締まります。  一方、ジャケパンの場合、ジャケットとスラックスの合わせ方も考えなければなりません。紺色ジャケットにグレースラックスという定番スタイルがあるからこそ、「質感のコーディネート」次第で、印象の完成度が変わります。  例えば、ジャケパンで陥りがちなミスのひとつに、シルクのツルッとした質感のネクタイを毛羽立ちあるジャケットに合わせてしまうというものがあります。強すぎる質感のコントラストは調和を崩し悪目立ちします。特に、ビジネスファッションの場合、「はずし」と呼ばれる斬新な合わせ方は通用しません!

進化を続ける! 日本人の服装リテラシー

 今回の泰明問題の根底には、日本人がアイテム主義からコーディネート主義にシフトチェンジしているという流れがあると私は見ています。もはや、「高級ブランドを着ることが必ずしも価値あることではない」という暗黙のメッセージが、社会の共通認識であるということを明らかにしたのではないでしょうか?  実際、私のところに依頼を下さるビジネスマンの多くは「以前はブランド物を着ることで安心を得ていた!」と言われる方が多いのです。  ところが、ブランド物を身につけたとしても、その組み合わせ方に自信をもてない。だからこそ、脱ブランド志向に目覚め、「定番の組み合わせ方=コーディネート」を学びたいというニーズが増えています。  ビジネスファッションのカジュアル化を見る限り、この流れは加速し、コーディネートの重要性が認知される時代がいよいよやってくることでしょう。流行ではなく定番を追求するアパレル企業のシェアも今後ますます伸びるのではないでしょうか、そう私は考えています。 <文/森井良行> 【森井良行】 株式会社エレガントカジュアル代表取締役。’79年 千葉県出身。服のコンサルタント、「プロの目線でユニクロも好印象!」をモットーとして、のべ4000人を超えるビジネスマンの買い物に同行。公式サイト「エレカジ」にて、自身がリサーチしたアイテム情報など随時更新中。上場企業から「営業マンのための印象研修」を請け負っている。
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