筆者が興味を持つのは、困った上場ゴール企業を除いて、成長力のあるIPOしたばかりの企業に対する株価上昇期待である。可能であれば、特定の基準で評価してIPO企業の中から選りすぐりの企業を特定できるのであれば、素晴らしいことである。
参考になりそうなものはないかと探した所、日経CNBCによる「プロが選ぶ2017年の優秀IPO企業」(参照:
スタートアップ企業投資で勝つ!きょうは丸ごとIPO銘柄)というのがあった。「独自のビジネスモデル」を持つ優秀IPO企業を日経CNBCが選定したのであるが、一株利益に着目するよりもビジネスモデルに着目した方が、より長期的な競争優位性から優秀IPO企業を選定できると、筆者は考える。
この「プロが選ぶ2017年の優秀IPO企業」で、最優秀企業となったのは、「空間再生流通事業」を標榜する「ティーケーピー」という企業だ。具体亭には、ホテル宴会場・貸会議室運営事業、ホテル&リゾート事業、料飲・ケータリング事業、イベント空間プロデュース事業、コールセンター・BPO事業をおこなっている。
他には、ジャパンエレベーターサービスホールディングス、ウェーブロックホールディングス、PKSHA Technology、ツナグ・ソリューションズなどが上位企業として名前が挙がっている。
ジャパンエレベーターサービスホールディングスは、エレベーター等のメンテナンス業界においても、政府の経済政策の効果、東京五輪開催等による建設需要の増加 に支えられ、市場は緩やかな拡大傾向にあると予想されている。(参照:
平成30年3月期 第2四半期決算短信)
ウェーブロックホールディングスは、業績悪化により2009年に東証2部上場廃止したのであるが、2017年4月に再上場した。壁紙、防虫網で首位。2015年、サンゲツの関連会社になった。新設住宅着工戸数が前年比伸び悩む中、サンゲツの壁紙見本帳への当社グループ製品の掲載点数の増加等が、引き続き販売増に寄与している。(参照:
2018年3月期 第3四半期 決算補足説明資料)
PKSHA Technologyは、筆者も
以前の記事で取り上げたことがある企業で、「未来のソフトウエアを形にする」をコーポレートミッションに掲げ、社内で開発したアルゴリズムモジュールを用いたアルゴリズムライセンス事業を展開している。(参照:
第5期定時株主総会招集ご通知)
ツナグ・ソリューションズは、アルバイト・パートに特化した採用活動代行サービスが主力。景気回復に伴う採用ニーズの高まりとアルバイト・パートの人手不足への対応ニーズがある。(参照:
「第11期定時株主総会招集通知」)
各社とも、「プロが選ぶ2017年の優秀IPO企業」発表の後の2か月間で、エレベーター+41%、ティーケーピー+83%、ウェーブロック+24%、PKSHA+41%、ツナグ+1%と、ツナグ以外、よいパフォーマンスとなっている。
数年の期間で評価すると、IPOしたばかりの優秀な企業がTOPIXよりもはるかに優れた株価パフォーマンスを示すことは、高い成長性から何ら驚くことではないと、筆者は考える。
<文/丹羽唯一朗 Photo by Burak Kebapci from
Pexels>