産業医が教える「忙しすぎる“働くお母さん”に必要な休み方」ホントのところ

忙しさだけではない、彼女の病巣

 彼女は面談中、相手の目を見て話すこともほとんどなく、笑顔もなく、覇気がなかった姿が印象的でした。時折つくため息からは、疲労の蓄積を感じずにはいられませんでした。  この方は、やらなければならないことに責任感、できないことへ残悪感を覚え、自責の念に囚われている働くお母さんの典型例でした。  彼女に疲れが溜まりすぎているのは明らかで、仕事も家事も育児も、いつも何かがオンになっていて、業務中モードにありました。ただ、本人の真面目さが、オフ(休憩)をとることに遠慮や罪悪感を感じてしまい、良しとしないのです。  このような方は働くお母さんに限らず、特に平日も、休日も絶え間なく“やるべきこと”に追われています。そんな人は注意が必要です。  特に多いのは、これといった大きな不満はないけれど、仕事、家事、育児などで毎日が忙しく過ぎてゆき、それゆえに気分転換や「on」「off」のメリハリがなく、疲労が蓄積していくことにも気づかず、なんとなく、ただなんとなくに徐々に調子が悪くなってしまうパターンです。

ネガティブなことがなくても「不調」になる!?

 これは一見、何ともないように感じますが、実は“忙しい”、“休みがない”というストレスが積み重なっていく点で厄介なのです。ネガティブなことがあって不調になるというよりは、休憩時間(オフの時間)がないことで不調になるといったパターンなのです。 デスクワーク このタイプの方は、積極的にオフ(休憩)を取ることをオススメしています。家事も育児も、実際に解決方法はありません。年単位で考えれば子供の成長ともに楽になるはずですが、それはだいぶ先のことです。そうであるならば、今のこの忙しさの連続を積極的に区切ることが大切です。  例えば毎月1回は自分の時間を持つこと、あるいは四半期に一度、3連休を作るなど長い目で見た対策と、1週間や1日ごとにゴールを区切るという短期的な対策を組み合わせることが大切です。  まずは月曜が終わった、火曜が終わったというように、1日ごとに気持ちをリセットすること。先が長いと気が重くなってしまうので、いくつか小さいゴールを設定していくと良いでしょう。  最後に、休憩(オフ)時間、リセットするタイミングを意識的に作って上手にやっているほかの働くお母さんの例をご紹介させていただきます。
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やりくり上手な働くお母さんは「こう」している
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