「簡潔に結論だけ」のメールは、あり? なし?

山口博

Melpomene / PIXTA(ピクスタ)

 最近、簡潔なメールを受け取ることが多くなったように思います。そうしたメールには、結論だけが書いてあります。一方で、その結論に至った経緯が書かれていないことが大半です。直前まで相談していた方向性と真逆な結論になっていたとしても、そうなった理由が書かれていないことすらあります。そこで、メールで質問したり、電話をして事情を聞いたりすることになってしまうのです。
 ある時、「結論が明確に書かれていることは良いことだと思うが、なぜ、経緯を書かなかったのか」と、何人かにやんわりと聞いてみたことがあります。すると、私にとっては、意外だと思える答えが返ってきました。

・メールや発言は、結論を先にということを習っているので、そうしている
・本文の長いメールを書くことは、相手に失礼だと思うし、相手の忙しい時間を割いてもらってしまうことになるので、結論だけにしている
・次に会う時に、詳しく説明しようと思った
・たいした問題ではないと思ったので、結論だけ伝えた
・相手が理由や背景は想定するだろうと思ったので、結論だけ伝えた
・詳しく知りたければ聞いてくるだろうと思ったので、省略した

理由や背景のないメールが誤解を引き起こす

 なるほど、確かに、結論を先に伝えるということは、メールでも、会話でも、プレゼンテーションでも有効な手法です。しかし、それは、結論を先に、その後に、理由や背景を説明するということがセットだと思います。理由や背景を説明せずに、結論だけ伝えるということは、本人にその意思がなくても、相手に対して「理由を問わず、背景を問わず、四の五の言わずに従え」と言っているようなものではないでしょうか。

 長文のメールには、確かに抵抗感を覚えることもあります。しかし、理由や背景を書くことは、それほど長文になるとは思えません。箇条書きする方法もあるでしょうし、次に会う時に説明しようと思ったのであれば、「とりいそぎ結論だけご連絡します。詳しくは、次にお会いした時にご説明します」と記すだけでも、相手の理解度は格段に高まるはずです。

 たいした問題ではなかったり、相手が理由や背景を想定するだろうと思ったりしたので、結論だけ伝えたという考えも、わからなくはないですが、自分が思った以上に、相手に丁寧に説明しないと相手は理解を示さないものだと考えたほうがいいでしょう。

 詳しく知りたければ聞いてくるだろうと思ったので、理由は背景の説明は省略したというケースは、確かにメール本文の文末に、「ご質問などがあれば、遠慮なくご連絡ください」と書いてあることもあります。

 そうした背景があってか、最近、この「ご質問があれば、なんでもおっしゃってください」とメールに書いてあったり、電話口で最後に言われたりすることが多くなったように思えます。

「遠慮なくご連絡ください」は使い方を間違えてはならない

 実は、この「ご質問などがあれば、遠慮なくご連絡ください」は、十分に相手の聞きたいことを説明したり答えたりした上で繰り出すのであれば、効果があります。どんなことでも説明してくれる、オープンな姿勢を示しているのだなという印象を相手に与えるはずです。

 しかし、例えば、結論だけ書いたり言ったりして、その背景や理由を説明しないで、「ご質問などがあれば、遠慮なくご連絡ください」ということを伝えると、相手からみれば、「理由を知りたければ聞け」「こちらから言うつもりはない」という、真逆の効果のメッセージにもなってしまうのです。

 相手の知りたいと思うだろう情報を、先回りして伝えること。これも相手を巻き込むことに効果のある手法なのです。

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