日本も参加のGoogle主催「月探査レース」、なんと勝者は「なし」。それでも失われぬ意義

鳥嶋真也

グーグル・ルナ・Xプライズでは、民間企業や団体が自力で開発した月探査機を月に着陸させ、着陸地点から500m以上移動すること、高解像度の動画や静止画を地球に送ることなどが条件として定められていた Image Credit: Google Lunar XPRIZE

 いまから10年前の2007年9月、米国の非営利団体Xプライズ財団は、民間による月探査を目指した世界初のレース「グーグル・ルナ・Xプライズ」を立ち上げた。

 これまで月の探査は、国の宇宙機関が威信をかけて行うのが常だった。それを民間が自力で実施するというのは前代未聞。しかし、米国や日本、インドなど、世界各国から多数の企業や団体が参加し、開発に挑んだ。

 レースの期限は2018年3月31日までとされていた。だが1月23日、Xプライズ財団は、どのチームも期限までに月に到達できる見込みがなく、また期限の延長もないとし、レースの終了を宣言した。

 勝者なく終わることになったが、それでも意義がなかったわけではない。このレースをきっかけに、参戦チームはすでに、月のビジネス化に向けて動きはじめている。

民間による月探査を目指した技術レース「グーグル・ルナ・Xプライズ」

 このグーグル・ルナ・Xプライズ(GLXP)を主催したXプライズ財団は、革新的な技術の創出・開発を目指した団体で、これまでに民間による宇宙船や超低燃費車の開発など、いくつもの賞金レースを開催している。名前にグーグルと入っていることからもわかるように、今回の月探査レースはIT大手のグーグルがスポンサードする形で開催された。

 GLXPに参加できるのは、民間の企業や団体に限定され、彼らが自力で開発した月探査機を月に着陸させ、着陸地点から500m以上移動すること、高解像度の動画や静止画を地球に送ることなどが条件として定められていた。これらの条件を一番最初にクリアしたチームには賞金2000万ドルが贈られる。また副賞なども用意され、賞金総額は3000万ドル(約33億円)にもなる。

 この前代未聞の試みに、世界各国から30を超える企業や団体が名乗りを上げた。その多くは資金難などを理由に撤退したが、それでも、米国の「ムーン・エクスプレス」(Moon Express)、イスラエルの「スペースIL」(SpaceIL)、国際チームの「シナジー・ムーン」(Synergy Moon)、インドの「チームインダス」(TeamIndus)、そして日本の「HAKUTO」の5チームが残った。

 だが、どのチームも資金調達や探査機の開発に苦労し、なかなか月へ向けて飛び立つことができなかった。Xプライズ財団は、当初は2012年末までとしていたレースの期限を何度も延長し、最終的には5年以上遅らせた2018年3月31日まで延びた。

 それでも、各チームはクリアすることができず、Xプライズ財団は1月23日、どのチームも期限までに月に到達できる見込みがないと判断。また期限のさらなる延長もしないとし、レースの終了を宣言したのである。

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「全チーム脱落」の理由

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