宇宙に向けて飛んでいくエレクトロン Image Credit: Rocket Lab
世界中で進む超小型ロケット開発、小型衛星ビジネスはさらに拡大へ
小型衛星の市場から待ち望まれていた超小型ロケットがいよいよ誕生したことで、今後その市場のさらなる拡大が予想される。
たとえば、数十機の小型・超小型衛星を使って地球を高頻度に、絶え間なく観測しようという企業はいくつか立ち上がっている。質の高い写真を撮影するためには、ある決まった軌道に正確に入れなければならない。そのため、小型衛星を1機単位で打ち上げることに特化したエレクトロンのような超小型ロケットは、まさにうってつけの存在である。
また、数千機の衛星を打ち上げて全世界にインターネットをつなげようという企業もある。この場合、まずは大型のロケットで一度に数十機の衛星を打ち上げ、ばらまくように配備することになるが、たとえば衛星が故障した場合など、代替機を1機だけ打ち上げる必要が生じたときなどにも、超小型ロケットは真価を発揮する。
そしてロケット・ラボが一歩抜きん出た形になったといえ、超小型ロケットはいまも世界中で開発が続けられており、今年以降、打ち上げを予定している企業はいくつもある。日本でも堀江貴文氏らが立ち上げたインターステラテクノロジズ、キヤノン電子などが設立した新世代小型ロケット開発企画などが開発を進めている。
このうち、どれくらいの企業が生き残れるかはわからない。しかし、小型衛星の市場規模のは、とても一社だけでまかなえるほどには留まらないだろう。また、ロケットの打ち上げが失敗したり、どこかが事業から撤退したりといったリスクや、企業間で競争を起こす必要があることを考えれば、あえて複数の企業と契約するなど、市場が複数の企業を残すように動くことにもなろう。
期待と需要が高まる小型衛星の市場と、それに応えるように続々と生まれつつある超小型ロケット。宇宙ビジネスは新たな、そしていよいよ本格的に始まる時代を迎えつつある。
日本のインターステラテクノロジズも、超小型ロケットの開発に向けて歩みを進めている(写真はその前段階となる観測ロケット「MOMO」) Image Credit: インターステラテクノロジズ
<文/鳥嶋真也>
とりしま・しんや●宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関するニュースや論考などを書いている。近著に『
イーロン・マスク』(共著、洋泉社)。
Webサイト:
http://kosmograd.info/
Twitter: @Kosmograd_Info(
https://twitter.com/Kosmograd_Info)
・Rocket Lab successfully reaches orbit and deploys payloads | Rocket Lab(
https://www.rocketlabusa.com/news/updates/rocket-lab-successfully-reaches-orbit-and-deploys-payloads-january-21-2018/)
・Rocket Lab | Electron – satellite launch vehicle | Rocket Lab(
https://www.rocketlabusa.com/electron/)
・Rocket Lab | About Us | Rocket Lab(
https://www.rocketlabusa.com/about-us/)
・Rocket Lab poised to provide dedicated launcher for CubeSat science | Science | AAAS(
http://www.sciencemag.org/news/2017/12/rocket-lab-poised-provide-dedicated-launcher-cubesat-science)
・Rocket Lab delivers nanosatellites to orbit on first successful test launch – Spaceflight Now(
https://spaceflightnow.com/2018/01/21/rocket-lab-delivers-nanosatellites-to-orbit-on-first-successful-test-launch/)