一方、ビットコインの手数料問題を手掛かりにして昨年、大きく値上がりを見せたのがビットコインキャッシュ(BCH)だった。
「日本ではSBIグループがBCH支持を打ち出し、韓国でも投機的な熱狂を見せています。韓国でのBCH熱がさらに高まり、ビットコインのセカンドレイヤー技術が思うように進まない場合、ビットコインの市場価値に迫る可能性もゼロではありません」(東氏)
技術面での競争が本格化してくれば、ビットコインの王座も安泰とは言えない。ここで注目されるのはイーサリアム(ETH)だ。
「ICO企業や開発者の強力な支持を受け、昨年はビットコインとの差を急速に縮める場面もありました。『プルーフ・オブ・ステーク』(PoS)への移行もテスト段階まできています。PoSが実現すれば、ビットコインのように送金詰まりが発生したり、マイナー(採掘者)に高い手数料を支払う必要がなくなる。ビットコインのセカンドレイヤーの浸透が遅れれば、ETHに人気が集まる可能性もある」(同)
ヨーロピアン氏もETHに注目しているという。
「ETHはICOで新たなトークン(コイン)を発行するのに便利なうえ、ブロックチェーン上で特定の“契約”を自動執行する『スマートコントラクト』という技術を実現しています。要は、ビットコインをはじめとした他の仮想通貨としっかり差別化できている。『次のビットコイン』として、こうした特徴がクローズアップされれば、昨年6月につけた高値1ETH=0.15BTCの回復はありえる。逆にライトコイン(LTC)など、差別化が難しいコインの上昇率は抑えられるのかもしれません」
【イーサリアムは対BTCでチェック】「次のビットコイン」として注目を集めやすいETHは対BTC価格を切り上げながら上昇中。昨年6月の高値0.15BTCが直近の目標価格に
一方で、仮想通貨時価総額トップ3の一角リップル(XRP)の値動きはBTCやETHと異なる可能性があるという。
「大企業や銀行との提携などのニュースで500円程度まで上がる場面はあるかもしれません。しかし、リップルは誰もがマイニングできるわけではなく、総発行量の約60%をリップル社が保有するなど、よくも悪くも中央集権的で、“仮想通貨らしく”ないんです」(ヨーロピアン氏)
総合すると、昨年は値動き先行で仮想通貨熱が高まったが、今年はライトニングネットワークをはじめとした仮想通貨の“技術”に注目が集まる年か。ビットコインの王座を揺るがすコインが現れるのか注目したい。