インターネットがあれば世界中どこからでも日本の媒体に執筆可能に
出版不況が言われて久しく紙媒体は減少しているが、ウェブ媒体は増えているため、「ライター」志望者が増えているという。事実、原稿料の単価は下落傾向にあるもライターになるチャンスは増えているようで、書店を覗くとライターになる方法などの書籍が並びライターやライティング講座も根強い人気がある。
しかし、その待遇は年々悪化する一方で、2016年にはコピペして構成した医療や旅行情報だけで記事を量産する「キュレーションサイト」が問題化したが、それらをコピペする人たちは1文字1円の報酬から1円ライターと呼ばれるなどした。
ただ、1円でも原稿料が出るならまだマシで、ライターになりたいという人の心理を巧みに利用した未払いや詐欺まがいの求人も増えている。
バンコク在住のライターA氏は、未払いの原稿料が2万バーツ(約7万円)以上あるという。A氏が執筆していたバンコクに編集部があった雑誌の原稿料は、本来、翌月末払いであるはずだが数か月支払われないため、問い合わせると小切手で渡された。その後、再び数か月原稿料が支払われないので問い合わせると小切手支給のようなやり取りが続くうちに会社は倒産。元代表はライターへの原稿料未払いのまま行方をくらました。
しかし、海外の都市での日本人コミュニティは狭い。飲食店や街中で恐ろしいほど出くわすことはしばしばだ。A氏もトンズラしていた元代表と遭遇したので普通に挨拶をしたところ、異常なくらい驚いていたという。さらに別の機会に街中で会ったときには、向こうから原稿料が払えない言い訳を一方的にまくし立ててきたという。
のちにA氏は、廃刊した雑誌の元編集者から「運営費が苦しくなったらライターへの原稿料は踏み倒せ」と運営会社の代表が指示をしていたと聞いたという。そう、完全に確信犯だったのだ。
「攻略記事を書いてくれ」とゲームまで自費購入したのに
スマートフォン向けのゲームの攻略サイトを作るから攻略記事を書いて欲しいと依頼されたB氏。B氏はその手の攻略記事で実績があるライターだ。口約束ではあったがゲームはライターが購入し、後から経費として原稿料とともに支払うと約束した。
依頼主から指示されたゲームを購入し、プレイして攻略記事を書いて提出していった。5本ほど攻略記事を書き上げた時点で、原稿料と経費精算をしようとしたら音信不通状態だった。
B氏は、依頼会社は取引先に大手ゲーム会社名を挙げていたのですっかりと信用してしまい口約束で進めてしまったと反省の弁を口にする。原稿料、ゲーム購入費に加え1本平均20数時間かかったゲームのプレイ時間など損害は少なくない。