“パンいち”姿の参加者たち
こうして気が付けばその車両のパンいち姿は筆者だけに。以前、ニューヨーカーがスポーツジムに行く姿を紹介した際にも綴った通り、日本から来た人間にとっては、こちらでは一般的な“レギンス姿”になることですら恥ずかしいこと。
なのに今の私の姿は何だ、と脱いだことを今更後悔して動けずにいると、電車は街の中心部からどんどん離れていき、なおさら自分が目立つ存在になっていく。
意を決し、大きい駅で電車を降り、中心部へ戻る電車に乗り換えようとしたのだが、乗ろうとした電車に寸でのところでドアを閉められ、何が楽しいか、ひとりホームでしばらくパンツいち姿をさらす羽目になる。
その駅周辺には多くの友人が住んでいるため、彼らに出くわしたら、すべてが終わる。そうなれば明日荷物をまとめ、即刻日本に帰るつもりだったが、幸いなことに誰にも会うことはなく、最終合流地点であるユニオンスクウェア駅へ無事戻り、変なテンションになった仲間とも再会できた。
2002年にニューヨークで始まった同イベントは、当初たった7人から始まったという。それが昨年はニューヨークだけで参加者は4,000人にも膨れ上がり、シドニーやロンドン、パリなど、60の主要都市にも拡散されていった。
東京でも一応開催はされているものの、まだニューヨークほどのパンデミックは起きていない。しかし、昨今のハロウィンの急速な広がりに鑑みると、もしかすると来年あたりには、真冬の東京の地下鉄をさっそうと移動するパンいち姿を多く見るようになるのかもしれない。
【橋本愛喜】
フリーライター。大学卒業間際に父親の経営する零細町工場へ入社。大型自動車免許を取得し、トラックで200社以上のモノづくりの現場へ足を運ぶ。その傍ら日本語教育やセミナーを通じて、60か国3,500人以上の外国人駐在員や留学生と交流を持つ。ニューヨーク在住。