話し合いは出だしが肝心。最初に異論反論を洗い出すことで会議が紛糾しなくなる!

山口博

Rawpixel / PIXTA(ピクスタ)

議題を熟知していなくても会議の進行役が出来る

 会議や対話で、洗い上げ質問、掘り下げ質問、示唆質問、まとめの質問の4つの質問を繰り出していくと、一定時間内に合意形成できる確度が格段に高まるということを前回お話しました(※『2018年、角突き合わせて話し合うだけの「合意形成」できない議論はもうやめよう!』)。

 今回は、洗い上げ質問の繰り出し方を紹介しましょう。10人程度が参加して、来年度の業務方針を決定する会議があるとします。その会議の進行役になったとして、4つの質問により会議を進行して参加者の合意形成を実現することを目指しましょう。

 進行役は、方針を説明する人と同じ人でも良いし、別の人でも構いません。演習をしていると、「進行役になると、議題についての事前勉強がたいへんなので、気が重い」…という意味の悩みを聞くことがありますが、この方式を用いれば、進行役は説明される方針の細部について熟知していなくても構いません。

 会議の進行役になったら、一生懸命、議題に関する内容を勉強して、誰に何を聞かれても答えられるようにしておかなければならない……というようなことは、まったく必要ありません。むしろ、そういう準備はしないほうがよいでしょう。部外者でも進行役が務まる方法なのです。

 会議の参加者が同じ課のメンバーだったとしたら、進行役は課のトップやトップに準ずる人である必要もありません。新入社員でも、若手でも構いません。むしろ、課を束ねる人ではないほうがよいでしょう。その理由は、後程ご紹介します。

応酬しないから、決して紛糾しない

 方針説明者が、来期の方針を説明したら、進行役の出番が始まります。進行役がまず始めに行うことが、洗い上げ質問になります。

「ただいま説明された来期の方針案ついて、気になる点がありますか」「心配な点がありますか」「反対意見を出してください」「言っておきたいことがありますか」……というように、異論や懸念を洗い上げる質問をするのです。

 洗い上げ質問には、答え方が自由で答えの幅が拡大していく拡大質問(オープンクエスチョン)を用いましょう。

 このように紹介していくと、「いきなり異論や懸念を洗い上げるとは、ただでさえ紛糾するかもしれない会議を、さらに紛糾させることになる」「火中の栗を拾うようなものだ」という心配をする人がいますが、心配はご無用です。なぜならば、参加者から異論や懸念が出されても、進行役は一切、やり合わないからです。異論や懸念に対して反論を返さないのです。

 異論や懸念が出てくるたびに、進行役が行うことは、「なるほど、そういう点も考慮する必要がありますね」「そういう意見もありますね」「それは気付きませんでした」……というように同意したり受容したりすることです。そのようにして、異論や懸念の洗い上げを加速していくわけです。

 大事なポイントは、進行役だけではなく、方針説明者も、参加者からの異論や懸念に対して決して応酬しないということ。自分が説明した方針に対して、気になる点や反対意見が出されると、「その場で、論破しなければならない」「言われたままにしておけば、同意したと誤解される」……という気持ちが沸き上がるかもしれません。

 それをぐっと抑えて、「そういう意見もあったか」「その点は気付かなかったなあ」……というように鷹揚に構えて、参加者の発言に耳を傾けるのです。参加者の異論や懸念にその場で全て同意しろといっているわけではありません。少なくとも異論や懸念に対して、さらに反論で返したり、やり合ったりしない……ということが大事なのです。

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無駄な意見の応酬を避ければうまくいく

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