北朝鮮カウントダウンツアー、日本からは10人ほどが訪朝。大型イベントは変わらず実施

 錦繍山太陽宮殿は、2人の指導者の遺体とそれぞれ関係する膨大な資料が展示され、ドレスコードもあり、見てまわるだけでも半日かかる広大な施設だ。宮殿内はなんとも形容し難い雰囲気に包まれており、こんな場所が東京から1200kmほど、福岡からなら700kmほどの距離にあるのかと思う非日常的な場所だ。

北朝鮮人民でさえ、多くの人は錦繍山太陽宮殿内へ入れず建物正面で拝礼している

 年末年始に訪れる訪朝者が、旅行会社を通じて錦繍山太陽宮殿への訪問を確認するも、曖昧な返事ではっきりしていなかったという。そして、渡航直前のクリスマス後になって、「錦繍山太陽宮殿訪問は、普通の訪問者ではなく、我が国の指導者への敬慕の心を抱いている訪問者が希望した場合に限り、特別申請をしてもらい許可を出す」との通達が届いたという。  原文はもっと分かりづらいが正しい文法の古めかしい日本語で、要するに国賓など北朝鮮が招待したような人間か、何回も訪朝しているようなリピーターなど特殊な人間以外の一般訪問者へは公開しないということだろう。  錦繍山太陽宮殿に安置されている両指導者の遺体は、維持する費用が膨大にかかると言われ毎年メンテナンスのため1、2か月ほど公開が中止されるのであるが、今回の遠回しな公開禁止の理由は明らかにされていない。 「私も何度も連れていかれましたが、現地では、錦繍山太陽宮殿は北朝鮮人民が指導者への感謝の心を示す大切な場所だと聞かされました。本来であれば、ここは北朝鮮人にとっては神聖な場所であると同時に外国人に対しては、北朝鮮という特異な国家を理解させ、教育するための機関という位置づけで、国外へ体制を正当化させるためにも積極的に訪問を促すと思われますが、何か公開できない理由があるのでしょう」(平壌在住経験もある中国朝鮮族の経営者)  年末年始のカウントダウンツアーは北朝鮮にとって外貨稼ぎだけではない。滞在する旅行者を通じて国際社会へ「北朝鮮はいたって普通であり、国連制裁は効いていない。北朝鮮の人々はアメリカからの不当な攻撃に耐えながらも日常と変わらぬ平穏な生活を送っている」ことを広くアピールする絶好の機会でもある。  そうした背景もあってなのか、日本や中国にある手配旅行会社と北朝鮮とのやり取りからは、戦争が近づく鬼気迫る緊張感はまったく感じられなかったのもまた、事実である。   <取材・文・撮影/中野 鷹 Twitter ID: @you_nakano2017
なかのよう●北朝鮮ライター・ジャーナリスト。中朝国境、貿易、北朝鮮旅行、北朝鮮の外国人向けイベントについての情報を発信。東南アジアにおける北朝鮮の動きもウォッチ。北レス訪問が趣味。 Twitter ID@you_nakano2017
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