海底遺跡を発見した男・新嵩喜八郎の尖閣諸島上陸記<2>

9年かけて撮り貯めた海底周辺の写真集を刊行

 新嵩は9年をかけて海底遺跡の周辺を調べつくした。 「そうして写真を撮り貯めて、今から二十年位前ですかね、平成七年ごろだったと思いますが東京で共同通信の新藤記者に見せましてね、そこからニュースが配信されていきました。その反響の大きさからか、全日空が島々を紹介する映像を作る中でこの海底遺跡を選んでくれましてね、その評判がよくて国際線にも使われるようになり、その映像をBBCが紹介し、そのおかげでグラハム・ハンコックがこの島までやってきたわけです」  これが海底遺跡ということは、人間による建造物ということになる。人間による建造物ということは、かつてそこは陸地だったということだ。一体、いつごろまで陸地だったのか。 「与那国島の周りはUの字型に海溝が取り囲んでいるのですね。北には沖縄トラフ、東には琉球海溝、南にはフィリピン海溝となっているのですが、西の台湾・中国に向けては非常に浅い海底地形になっているのですね。そして遺跡に付着している藻やサンゴをサンプリングして炭素年代測定法で調べてみると二千年・四千年・六千年という数字が出てきました。今度はそういったものを取り除いて海底遺跡の岩盤を名古屋大学に持ち込んだら、放射年代測定法で約一万年前は陸地だったということが判明しました。だからそれ以前に作られたものであることだけは確かですね」  その後新嵩は自身が尖閣で灯台を建てたときの作業の一部始終を収録したビデオを見せてくれた。 「これが魚釣島…こちらが、先ほど申し上げたヤギの大群ですね。この灯台を建てるためには、もう一基予備灯台がないといけないのですよ。こちらが、かつてあったカツオ工場の跡ですね」  新嵩はこれまで撮り貯めてきた海底遺跡の写真を一冊にまとめ、2017年6月に刊行した。 「神々の棲む海」というタイトルで、美しい写真が収録されている。その中で石原慎太郎・元東京都知事の言葉が寄せられているが、それがまさに与那国島の魅力を言い表している。 「与那国島というのは島の上には殆ど何も無い島だが、その周りの海の底には無人の魅力を秘めている」  この記事をお読みいただいた方が一人でも多く、与那国の周りの海の底に魅せられることを願ってやまない(文中敬称略)。 【タカ大丸】  ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』(三五館)は12万部を突破。最新の訳書に「ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。  雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。公式サイト
 ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部を突破し、現在新装版が発売。最新の訳書に「ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。10月に初の単著『貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)を上梓。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。
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