昨年7月「マウントゴックス事件」で起訴されたカルプレス被告は無罪を主張。写真:産経新聞社
仮想通貨の勢いが凄まじい。その代表格である「ビットコイン」は、2016年の段階では数万円で推移していたが、2017年12月時点ではなんと160~170万円台を推移するまでになった。
ネット上に文章公開、集金ですべてが事足りるはずなのに……
そんな潮流に伴い、ビットコイン以外の仮想通貨である「アルト・コイン」への注目度も自然と高まった。だが、このアルト・コインに伴うトラブルが多発している。ITジャーナリストの三上洋氏は次のように話す。
「一昨年の段階から、暗号通貨、電子通貨の時代と言われていた。2、3年前までは『実態がないからダメだよね』というのが共通認識だったにも関わらずです。ところが一昨年の夏以降、ビットコインの価格はうなぎ登り。世界的な通貨として認識され、それに伴い投資家、特にFXやIBOといったギャンブル性の高い市場に投資していた人達の目が、仮想通貨へと向いた。そんな背景もあり、ICO詐欺が浸透するようになった」
コインが生まれた当初は、本当に安かったものが、下手すると100倍になる。そんなビットコイン神話もあり、詐欺師達も仮想通貨へと着眼した。仮想通貨の構造理解の困難さ、法整備の未熟さも後押しし、新規業者の参入は後を絶たない。三上氏は続ける。
「仮想通貨が、詐欺や犯罪に利用されやすい理由としては、技術がよくわからないという所が大きい。加えて、こんな簡単に誰でもお金を集められる“商材”は今までなかった。フェイスブックや情報商材で動いていた詐欺グループが、今では軒並み暗号通貨に移っている。あくまで私の感覚ですが、日本語情報でパンフレットを作っているコインは99%詐欺。それから、セミナーをやっている会社は100%詐欺と断言できる。なぜなら、セミナーをやる必要がまったくないからです。仕組み的に、ネット上の技術だけで済んでしまう。ネット上に文章公開、集金ですべてが事足りるのです」
さらに、“仮想通貨は儲かる”という幻想に拍車をかけたのは、昨年金融庁が設けた、ビットコインの取り引きについての法律とガイドラインだという。
「金融庁主導の法律が出て以降、ICOが金の卵を生むガチョウになってしまった。本来であれば、企業のIPOと同じでどんな技術で、どんな運営をしているかを明示しないといけない。ただ、その段階から怪しいものばかりなんですね。東南アジアの政府と連携していると称したり、有名人を呼んで豪華にセミナーをするなど。こういった形で、見掛け倒しがほとんど。今は、多くのベンチャーも参入してきています」