アラブ首長国連邦の大型ショッピングモールには映画館が併設
近年、産油諸国石油価格の下落と若年層の人口増加に伴う失業率の上昇を防ごうと多くの対策を取っています。それに伴い様々な分野で規制緩和が進み、5年前から定点観測している身からすると現地の様子が目まぐるしく変化していくことに大変驚いています。
その代表例として12月11日の最新のニュースでは今まで禁止されていた映画館が来年の春頃についに解禁される、というニュースがありました。
今までバーレーンやアラブ首長国連邦などに映画を観に行っていたサウジアラビア人がこれから国内の映画館を利用することができます。それと同時にサウジアラビアで映画会社が次々と設立されるようになるでしょう。
他に大きく報道された有名なニュースで、女性の車の運転解禁があります。
来年の6月から女性の車の運転が解禁される、との報道発表後、今まで女性の運転に反対していた人たちは鳴りを潜め、サウジアラビア国内ではすっかり女性の運転解禁を支持する世論が形成されてきました。
それと同時に女性の社会進出や女性ドライバーが増えることに依拠した新車購入増による経済効果の話で盛り上がっており、サウジアラビアの女性が好きな車のランキングなどが発表されるようになりました。
教習所の車で運転の練習をするクウェートの女性ドライバー
サウジアラビアの西側の大都市ジェッダにある名門のプリンセス・ヌーラ大学では女性に運転を教えるドライバースクールを設立する、という声明を出したり、同じく名門キング・アブドゥルアジーズ大学と交通警察の間で女性専用のドライバースクールの設立に合意が進んだり、と規制緩和に合わせた動きが社会全体で進んでいます。
同時に、この女性ドライバー解禁のニュースの裏でガソリンの価格の値上がりと自動車に関する税金のニュースも同時に流れていました。
海外のメディアでは、この動きに対して「経済的な要因が文化的要因を変化させた」という意味合いの文言が多く出ています。もちろん、そのような財政的な面や女性の社会進出に伴う労働力の増強という側面も今回の規制緩和の目的であることは否定できないと言えます。