ZARAの下請けだったトルコ企業が倒産。従業員が給与未払いを訴えて取った「奇策」

ZARAの大元は救済基金の創設を検討

 ZARAを傘下に収めるINDITEXは、Bravo Tekstilに雇用されていた従業員はBravo Tekstilとの契約であり、ZARAは飽くまで企業のBravo Tekstilと契約していたに過ぎないということで、そこで雇用されていた従業員に関連しての問題はZARAの管轄対応には含まれないとしている。また、ZARAはそこで働いていた労働者が最後の3か月分の給与を受け取っていなかったというのは当初知らされていなかったと述べているという。  ただ、ZARAは従業員の事情を鑑みて、ALL INDUSTRIAL UNIONとMANGOそしてNEXTとも協力して救済基金の創設を検討しているそうだ。この基金を活用して、支給されていない給与を補填することや、賠償などに適用できるとした。(参照:「Equal Times」)  トルコ経済において、繊維部門は重要な位置を占めている。トルコは繊維製品の輸出規模では世界で5位に位置している。今年上半期の繊維製品の輸出の70%はEU向けであった。2023年のトルコ建国100周年には繊維製品の輸出は800億ドル(9兆6000億円)にまで伸びる事を見込んでいるそうだ。(参照:「Equal Times」)  ヨーロッパのアパレル企業にとって、トルコは地理的に近い距離にあることから、アジアで生産するよりも納期などの面でメリットがあるとされている。しかも、労働者の質も良い。これがトルコの存在が重要な位置づけをされている要因である。 <文/白石和幸> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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