さらに「CRSは国内資産の徴税強化にも利用されるだろう」と指摘するのは、前出の松嶋氏。
「’14年から、5000万円を超える海外資産がある人は、国外財産調書の申告が義務付けられました。CRSを利用すれば、申告すべきなのに申告していない者を効率的にリストアップすることもできます。また現在、100万円以上の現金を国外に持ち出す際には申告義務がありますが、未申告で持ち出して海外で運用している人も露見するでしょう。その他、多額の海外預金がある者に、お金の出処についての『お尋ね』を送れば、国内での所得隠しを発見することにも繋がります。このため、相続などで未申告の海外資産がある人や、海外預金の原資となった所得などについて申告していない人は、速やかに期限後申告をするべきです。そうすれば、加算税は原則、追加で納付税額の約5%で済みます」
これからは正直が一番ということ!?
《CRS(共通報告基準)の概要》
国税庁はデータベースをいつでも閲覧可能
●交換される海外の銀行に口座を持つ個人・法人の情報
○氏名(名称)
○住所(所在地)
○居住地国
○納税者番号(マイナンバーではない)
○口座残高
○利子・配当等の年間受取総額等
《CRS加盟国一覧(全101の国と地域)》
○2017年までに交換(2016年分から報告)1回目の情報交換(’18年9月)
’16年12月末の口座残高が1億円以上ある個人口座
アングィラ、アルゼンチン、バルバドス、バミューダ諸島、ベルギー、英領ヴァージン諸島、ブルガリア、ケイマン諸島、コロンビア、クロアチア、キュラソー島、キプロス、チェコ、デンマーク、ドミニカ、エストニア、フェロー諸島、フィンランド、フランス、ドイツ、ジブラルタル、ギリシャ、グリーンランド、ガーンジー、ハンガリー、アイスランド、インド、アイルランド、マン島、イタリア、ジャージー島、韓国、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、メキシコ、モンセラト島、オランダ、ニウエ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、サンマリノ、セイシェル、スロバキア共和国、スロヴェニア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、トリニダード・トバゴ、タークス・カイコス諸島、イギリス(55の国と地域)
○2018年までに交換(2017年分から報告)2回目の情報交換(’19年9月)
’16年12月末の口座残高が1億円以下のすべての個人口座
アルバニア、アンドラ、アンチグアバーブーダ、アルーバ、オーストラリア、オーストリア、バハマ、バーレーン、ベリーズ、ブラジル、ブルネイ・ダルサラーム、カナダ、チリ、中国、クック諸島、コスタリカ、ガーナ、グレナダ、香港、インドネシア、イスラエル、日本、クウェート、レバノン、マーシャル諸島、マカオ、マレーシア、モーリシャス、モナコ、ナウル、ニュージーランド、パナマ、カタール、ロシア、セントキッツ・ネイビス連邦、サモア、セントルシア、セントヴィンセント・グレナディーン、サウジアラビア、シンガポール、シント・マールテン、スイス、トルコ、アラブ首長国連邦、ウルグアイ、バヌアツ(46の国と地域)
ちなみにアメリカは入ってない!!
<取材・文/奥窪優木>