“韓国版テラスハウス”番組の低俗さを、韓国メディアが批判!

“韓国版テラスハウス”のえげつなさ

 しかし韓国版「テラスハウス」とも言える「ハートシグナル」は、それとはまったく違う。  どちらかと言えば、出演者の社会的なスペックを強調する。お互いの職業を知らない出演者同士が、それぞれの職業を知ることによってどう変わるのか。そういう楽しみ方の番組だ。  シーズンの前半に3名の男性が登場するが、一人は法務法人の弁護士、一人はカーレーサー、一人はミュージカル俳優である。  ちなみに女性3人の職業は、外資系企業に勤める広報マーケーターに靴のデザイナー、そして大学生だ。勿論、アルバイトをする人はいない。何かになりたいと夢を語る人もいない。  今の時点でそれぞれが持つ「スペック」で勝負をするのだ。カメラは、出演者が乗ってきた外国車や高級腕時計などをクローズアップする。  HUFFPOST KOREAは、「ハートシグナル」という番組の底に流れる「俗物性」に対し批判的だ。  カーレーサーであるジュウォンが「韓国でプロのレースに参加しようとすれば、10億ウォン掛かるし、シューマッハのように世界的な有名レーサーになれば最低でも1年間に40億ウォンは必要となる」と話せば、スタジオのコメンテーターたちは、彼を「はずれ」だと言う。出演者たちに悪気がある訳ではない。出演者たちの財力や職業自体が悪い訳ではない。それを露骨にピックアップする番組制作陣の態度が醜悪であるのだ。 「テラスハウス」のようなリアリティー恋愛バラエティ番組で重要な要素は、出演者たちの魅力である。勿論、財力や職業も、その人を形づける魅力の要素ではあるが、例えば「ハートシグナル」を観た視聴者が、「32歳の弁護士が、21歳の大学生の女性をベンツに乗せてどこかに連れていくシーンなど見てられない」と話す通り、出演者たちの人間的な魅力による関係性ではなく、社会的な優劣や損得の関係で出演者が繋がっていく姿からは、恋愛が本来持つ純真性は一つも見て取れない。  HUFFPOST KOREAは、「我々はいつまでこのような低俗な番組を見ながら、不自然な笑いを浮かべなくてはいけないのか」と記事を締めくくりながら、テレビを介した制作陣と視聴者たちとの非生産的な関係性について批判している。  HUFFPOST KOREAは、「テラスハウス」を魅力的で純真性あふれた番組として紹介しているが、実際には番組内外で様々なバッシングや、疑惑などがネットニュースを中心に報じられた。その真偽が大事なのではない。人の興味は、得てして低俗なものにそそられがちである。あまたのワイドショー番組や情報バラエティ番組などがそうであるように。  この問題は、韓国社会だけの問題ではないだろう。 <文・安達 夕 @yuu_adachi
Twitter:@yuu_adachi
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