エクアドル政府、保護中のアサンジ氏にカタルーニャ問題について「黙ってろ」と厳命

「エクアドルはアサンジに黙れと命じた」とストレートな見出しを打ったエクアドルの電子紙『elTriangle』

 在英エクアドル大使館に5年前から滞在するウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジに対し、エクアドル政府は現在のカタルーニャのことに関して口出ししないよう促したことが11月22日付でスペインとエクアドルの主要紙で報じられた。、更にラテンアメリカの一部の報道メディアでもそれが明らかにされた。  各紙の中でも、エクアドル電子紙『elTriangle』の見出しは<「エクアドルはアサンジに黙れと命じた」>とストレートな表現そのものである。  エクアドル外務省は、”アサンジの最近のカタルーニャに関しての発言は、スペインの現在の領土保全を支持するエクアドル政府の姿勢を代表したものではない。また、他国の内政を干渉しないことが同政府の姿勢である”ことを強調した。 また、同外務省はアサンジが今後も同大使館に滞在することを容認するとした上で、同氏はエクアドルの外交関係に影響を及ぼすような発言や活動は控えるべきであり、エクアドルとスペインとは歴史的そして文化の繋がり、及び相互の尊重に基づいた関係で結ばれているのであるという声明を発表した。(参照:「El Periodico」)

募るアサンジの発言への不満

 エクアドル政府は、以前から今年5月に新しくエクアドルの大統領に就任したレニン・モレノも、アサンジのハッカーとしての活動には同意しないが、同氏の大使館での滞在はこれまで通り容認する意向であることを表明し、アサンジに対して寛容な対応をしてきた。にもかかわらず、今回エクアドル政府がアサンジに注意を促すことを決めたのには以下のような経緯があったからである。  そもそも、ラホイ首相のスペイン政府は、エクアドル政府に対し、カタルーニャの独立を支持表明するアサンジの活動に反対してたびたび協力を要望していた。  しかし、それ以上にスペイン政府関係者内でも、アサンジがカタルーニャ問題以外に、米国の大統領選についても口を出すことについて不快感を抱く人が増えていたのだ。  モレノ新大統領がアサンジの在英エクアドル大使館での滞在許可を更新したのは国際法及び亡命についての国内規約に照らし合わせての原則に基づいて、同国が外交上において約束したことは守るということで同氏の滞在更新を決定したものだ。しかし、9月下旬に、大統領があるインタビューの席でアサンジが亡命者として守るべきことを幾分か犯しているということを吐露したのである。そこで、アサンジに国内及び国際政治について首を突っ込まないように要請したのだ。(参照:「El Pais」)  さらに、エクアドル前外相のフランシスコ・カリオも、アサンジが亡命者という立場にありながら容認できない振舞いをしていると批判していた。外相と国連の人権問題についての事務局長を歴任したホセ・アヤラ・ラソも、アサンジの振舞いから、大使館の滞在に終止符を打つべきだという考えを表明していた。(参照:「ABC」)
次のページ
エクアドル政府の不評を買った報道
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会