閉店したものの、まだ北朝鮮国旗は掲げられている丹東高麗館
中朝国境の丹東でドーンと鎮座する世界最大の北朝鮮レストラン(以下北レス)「丹東高麗館」が閉店した。閉店が確認できたのは8日ごろで、15日には「店内改装工事のため休業する」旨の張り紙が確認された。覗ける範囲で中を見てみると入口近くには正面の会計カウンター以外のモノはすでに撤去されており、入口左側にある生け簀が空っぽで放置されているのが確認できる。
修理のためしばらく営業停止と書かれた告知文
中国では飲食店やショップが閉店するときに建前上「改装工事」を理由に使うことが多く、そのほとんどがまったくの別店舗へ生まれ変わるため、事実上の閉店を意味すると認識されている。
北レスでは世界最大の規模とされる丹東高麗館は、金正日総書記が死去した翌年の生誕日である2012年2月16日に丹東市の幹部クラスも参加してレストランの規模に相応しい盛大なオープニングセレモニーで開業している。
最盛期には女性スタッフ150人、調理人なども含め200人ほどが働いており、地上5階の一般フロアと一般客が行けない6階にはVIPルームがあり北朝鮮幹部の会合場所などにも使われていたとされる。
高級店であることに加えオープン当初から監視が厳しく店内は一切撮影禁止を貫いていたため、話題作りにと1度は訪れた一般客の中でリピートする人は少なかったようだ。また、フロアの女性スタッフも愛想がなく、ほとんど会話にも応じてくれない塩対応だったので、北レスの醍醐味はまったく味わえずだった。それだけ、管理監視が厳格で、北朝鮮にとって重要な旗艦店であったことは間違いない。
丹東高麗館がある文化広場という場所近くには、比較的古い北レスがあるのだが、9月末の中朝合弁企業閉鎖通達で北レスの存続に黄色信号が灯り始めた後に、老舗の「玉流館」、「金剛山」が相次いで閉店している。
丹東高麗館閉店で、ただでさえ夜になると暗い文化広場はさらに闇夜が深くなり、徒歩10分くらいにある中朝友誼橋(旧鴨緑江第二橋梁)のイルミネーションがより眩しく感じられるようになってしまった。