急遽、期間限定の一般公開が決まったタイ前国王の葬儀祭壇を観に行ってきた

高田胤臣

細部に渡ってひとつひとつが丁寧に作られていた

 10月26日に行われたタイのプーミポンアドゥンヤデート前国王の葬儀当日の様子については、すでに以前報じたが、当日は火葬の様子などはタイのテレビですら撮影許可が下りず、放送されることもなかった。つまり、8か月もかけ、歴代タイ国王の葬儀の中でも最大級という火葬用の祭壇を建造したのだが、そこに棺が納められるまでしか国民はテレビで観ることができなかったのである。

 そんな火葬の祭壇だったが、急遽、11月2日から月末まで一般公開されることになった。歴史的な施設であり、しかも現状は11月末の公開が終わると同時に解体されるという、まさに今しか見られないものなので、実際に現地を訪れてみた。

服喪期間とは打って変わった雰囲気

 現地で驚いたことは、喪服姿の人がほとんどいなかったことだ。政府も10月29日で服喪期間が終わることを宣言していたこともあるが、王室や宗教関係には保守的で、例えば普通の寺院でさえカジュアルすぎる服装は敬遠されることもあり、さすがにこの祭壇見学には喪服、あるいはそれに準じた服装が必要なのではないかと思っていた。実際に筆者の周囲のタイ人や外国人もほぼ全員がそういった認識だった。ところが、現地においてはポロシャツにジーパンというのも普通にいるし、外国人観光客はハーフパンツや派手なシャツを着ている人もいたが、誰も入口で止められる人はいなかった。

 現在も前国王の亡骸が安置されていた王宮周辺は通行止めとなっている。ただ、観光スポットとして定番のエメラルド寺院や、涅槃像で有名なワットポーは通常通りの営業をしていて、すべての人が徒歩であれば検問所で身分証明証を警察官と防犯カメラにかざして提示し、金属探知機を抜ければ入ることができる。

祭壇の北側。ちょうどこの日は涼しかったが、天気は悪かった

 祭壇が建造された王宮前広場は南側に主要施設があり、見学者は広場の北東側にある門にまず向かう。近辺には車が走っていないのでいつもよりも歩きやすいが、特に厳重な警備でもなく、思っているほど厳格でないことに戸惑いを隠せない。中国人団体観光客らはいつものように声高にしゃべりながら歩いているが、警察も軍関係者もそれを咎めるわけでもない。前国王が崩御されてから1年間のこの周辺の雰囲気が服喪期間が明けた途端、がらりと変わってしまったようだ。

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整然と参列する人々

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