ロシアW杯参加のスペイン代表のユニフォームが「カタルーニャ共和国」風だとスペイン国内で物議

 新しいスペイン代表のユニフォームは赤、黄、青の色が使われているが、これらの色は現在建国しようとしているカタルーニャ第三共和国の国旗の3色である。しかし、ユニフォームの青は紫にも取れる。それはカタルーニャ第二共和国の3色のひとつである。  そして、胸の部分にあるひし形の中は、黄色と赤色の縞模様が描かれているが、これはストライプは一般にセニェラと呼ばれているものだ。セニェラは歴史上のアラゴン王国の旗で、この王国の支配下にあったアラゴン州、カタルーニャ州、バレンシア州で州旗の基本構図となっている。また、ユニフォームの両肩の3本のストライプもそのセニェラだと見てとれる。  即ち、カタルーニャの第二共和国と、これから建国しようとしている第三共和国の旗を構成する3つの色をユニフォームに採用し、しかも、赤色と黄色のセニェラが胸の部分の菱形の中に描かれている。しかも、両肩も同様にストライプが入ってセニェラになっているというのである。  この様な背景があって、今回発表されたスペイン代表のユニフォームは「カタルーニャ共和国を代表するユニフォームだ」と多くのスペイン人が感じるようになったようだ。  もちろん、似たようなユニフォームが1994年の米国ワールドカップに参加した時に使用されたことがある。しかし、あの当時は今ほどカタルーニャの独立問題が話題にはなっていなかった。  この物議に対して、アディダスはスペイン代表が1994年のアメリカW杯で着用したユニフォームからヒントを得たもので、赤、黄、青はスピード、エネルギー、スペインサッカーのスタイルを象徴したものだと説明しているという。 <文/白石和幸> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会