スタートアップに毎年5000億円集まる、技術立国イスラエルの基礎知識

 最近では、こうした、いわゆる投資したお金が何かしらの形で、イグジット(=出口)していく(イスラエルの場合は、企業買収は全体の9割程度、それ以外は、株式店頭公開をしていく)ことから、「イグジットネイション」という名を持つようになっている。  さらに、イスラエルのスタートアップの特徴は、既存の延長線上で物事の「解決」を図るというよりも、これまでまったく出てこなかった新しい方法で物事を「解決」することから、「ソリューションネイション」などと呼ばれ始めている。こうした側面もあることから、既成概念で全く出てこないような研究・開発をこの地で行う、グローバル企業は増え続け、現在では300を超えるまでになっている。 (AIの世界的権威で、ディープ・ラーニングの先駆者として知られる研究者のジューディア・パール氏もイスラエルの技術立国を支える代表的な一人だ)  ここ数年は、社名こそ明かせないが、日本の企業のいくつかも、すでにこうした研究・開発の拠点を構え、日本からの訪問者もウナギのぼりに増えてきている。  そうは言っても、日本人のビジネスマンの99%以上の相変わらずのイメージは、イスラエルというと「危険」「戦争」「テロ」のイメージであると思うが、それは本当に一側面でしかない。  技術立国イスラエルについてはこれまで多く語られなかったが、引き続き、そういう側面を1つでも多くお伝えできればと思う。 【加藤 清司】 株式会社イスラテック代表取締役。1980年静岡県浜松市生まれ。2006年、「ある技術」に注目しそのルーツを調べ、イスラエルへと旅立ち2か月過ごす。現在、日本を代表するテクノロジー企業を対象に、イスラエルのスタートアップとのアライアンスを支援。2017年1月、『スタートアップ大国イスラエルの秘密』を出版。
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