イスラエルのシリコンバレー「シリコン・ワディ」と呼ばれるエリアがあるハイファの夜景。photo by R-Janke via pixabay(CC0 Public Domain)
本連載では、イスラエルのビジネス慣習についていろいろお伝えしてきたが、今日は、技術立国イスラエルという国についてのお話をする。
イスラエルは、2000年過ぎ辺りから、「中東のシリコンバレー:通称シリコンワディ」と言われ、アップル、グーグル、インテル、アマゾン、フェイスブックなどのグローバル企業の拠点が集積することから、その呼び名がついた。2010年代に入ったころ辺りからは、「スタートアップ国家」と言われるようになっていった。
そもそも、「スタートアップ」とは、あるコアの技術や、特定の付加価値(ビジネスモデル)を基に企業の急速な成長を狙うベンチャー企業の事である。イスラエルでは、年間800~1000社以上スタートアップが設立されるため、近年スタートアップ国家(Start-Up Nation)と言われるこの呼び名がついた。
スタートアップ国家と呼ばれるもう1つの理由は、「イスラエル」という国自体は、第二次世界大戦後にできた非常に新しい国で、まだ70年程度の歴史しかない(ユダヤ人は、5800年程度の歴史を有するが)。
近年、イスラエルでは、このスタートアップに毎年5000億円程度の投資が国内外から集まる。投資が集まるだけでなく、100社程度の企業は、すでに拠点を持っているグローバル企業に買収される、その金額は、ここ数年投資金額の倍の1兆円を超える金額となっている。(2015、2016、2017年のイスラテック独自調べ)。
スタートアップ企業を「えいやー」で作って、投資を集めるところまでは日本でもよく聞く話であるが、イスラエルではスタートアップ企業が買収され投資家に資金が還元するところまで仕組みが出来上がっているのが特徴である。