2017年9月30日時点、ブラックロックの運用資産(AUM:Asset Under Management)は、5兆9,768億ドルとなっており、前年同期から17%増加したという。純流入額は961億1200万ドルと、こちらも前年同期の698億900万ドルから拡大している。キャッシュマネジメント(リスクマネジメント)およびアドバイザリー業務を除く運用資産は5兆5,488億ドルである。この運用資産の5兆5,488億ドルは、iシェアーズETFを含む株式、債券、マルチアセット、オルターナティブから構成される。
手数料が低いパッシブ運用ファンドへの資金流入が続いていることが、ブラックロックの運用資産の拡大につながっている。
そして、ブラックロックの2017年第3四半期(2017年7月~9月)の総収入は、前年同期比14%増の32億3300万ドルであった。純利益は同8%増の9億4700万ドルで、特別項目を除くEPS(1株当たりの利益)は5.92ドルとなっている。
ブラックロックは、株価のほうも長期で騰がり続けている。ブラックロックの運用資産(AUM)の拡大がEPS(1株当たりの利益)拡大に繋がり、さらに、EPS拡大が株価の上昇につながっているのだ。
1999年10月、ブラックロックの株価は14ドルであった。それが、2017年11月1日の時点で、ブラックロックの株価は469ドルとなっているのだ。
このブラックロックの株価推移を見ると、日本の証券会社や運用会社の株価の動きとは全然違うことがわかる。例えば、スパークス・グループ株式会社では、運用資産(AUM)が2017年5月に、1兆円に回復した。9割以上が日本株の運用資産である。(参照:
スパークス2017年9月度(速報値)月末運用資産残高のお知らせ)
筆者は、最近の日本株の上昇に合わせて、スパークス・グループの運用資産(AUM)が拡大し、さらに、株価が上昇していくと期待しているが、現時点では、スパークス・グループの株価は、リーマンショック前の水準を超えていないのである。
ブラックロックは、ニューヨークを本拠として北米、南米、欧州、アジア、オーストラリア、中東、アフリカ等、世界30カ国以上の拠点と従業員約13,000名で事業を展開している。運用資産(AUM)、EPS(1株当たりの利益)の拡大および株価の上昇には、ワールドワイドの事業展開をする運用会社の方が優位に働いているのだろうか。
実はこのブラックロック、日本株を大量に保有している。2010年以降に発行済み株式数の5%以上を保有していると明らかになった銘柄は約200社の及び、その殆どが日経平均採用だという。いまや、保有数においては、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に次ぐ第二位、日本銀行よりも保有していると言われているほどだ。
安倍首相訪米時には同社CEOとも会食したと言われるブラックロック。そのため、「同社が手を出している銘柄に乗る」のも手かもしれないが、もしかしたら一番堅実なのはブラックロック自体に投資することなのかもしれない。
<文/丹羽唯一朗 photo by
Jim.henderson via Wikimedia Commons(CC0 Public Domain)>