微表情を扱ったドラマ「ライ・トゥー・ミー」を観るとウソ検知力は高まるのか?

 こんにちは。微表情研究者の清水建二です。  本日は、前々回、前回に引き続き微表情に関するよくある疑問にお答えしようと思います。今回の疑問は、「ライ・トゥー・ミー」を観るとウソ検知力は高まるか?です。  「ライ・トゥー・ミー」とは、精神行動分析学者であるカル・ライトマン博士が微表情からウソを一瞬にして見破り、犯罪捜査支援などを行う姿を描いたテレビドラマシリーズです。日本では、FOXチャンネルで2010年から放送が開始され、人気を博しました。  本作品は、実在の心理学者ポール・エクマン博士の研究が土台となっており、またエクマン博士が監修を行っていることから、微表情の世界を知るにはとてもオススメです。  さて、「ラィ・トゥー・ミー」を観ることで微表情検知力やウソを見抜く力が高まるのでしょうか?ある科学実験からその答えを探ります。  ミシガン大学の研究チームは、実験参加者らを「ラィ・トゥー・ミーを視聴する」、「Numb3rs(※)を視聴する」、もしくは「何も視聴しない」 という3つのグループに分けました。その後、それぞれの実験参加者らに、ある事柄についてウソか真実の証言を述べている12人のインタビュー映像を観てもらい、誰がウソを述べているかを判断してもらいました。  実験の結果……「ラィ・トゥー・ミー」を視聴したグループはその他2つのグループに比べ、真実を証言している人をウソだと判定する傾向にあることがわかりました。  一般的に私たちは、人を正直者であると判断するバイアスを持っていますが、「ラィ・トゥー・ミー」視聴者グループは、人をウソつきだと判断する傾向に傾いてしまったということです。この人をウソつきだと偏って判断するバイアスをウソバイアスと言い、警察官など業務上ウソに接することの多い職務に就く人々が持つバイアスだということが知られています。
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ドラマと現実の犯罪捜査との違い
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