「自分より少し下」の男性をターゲットに営業する理由
読者の皆様は、「互酬性の規範」をご存知でしょうか。人は、与えられたものと同等か、それ以上のものを相手にお返ししなければ居心地の悪さを感じてしまうという意味です。
女性が「自分より少し下」の顧客にアプローチしますと、顧客男性にとっては「自分より少し上クラス」の女性から営業を受けることになります。「自分なんかとは釣り合わないはずの、1ランク上の女性を愛人にできるなんて、コスパがいいじゃないか」と、そのような「お得感」を提供すれば、顧客男性はついつい、財布の紐を緩めてしまうんですね。
私の主要取引先であるAさんを例にご説明いたしましょう。彼は、ピラミッドでいいますと、私と同等の「真ん中」に位置し、年収は2000万円を下りません。が、外見に少なからずコンプレックスを持っておられました。
年下の美人にアプローチしても、容姿やコミュニケーション力のなさで断られてしまうんですね。それが分かりましたので、私は他の女性よりも真摯にAさんへの顧客訪問を続けました。ヒアリングの過程で、Aさんが「自分なんかと付き合ってもらって、信じられない」と発言していたことから、彼にとって私は「少し上」であると認識されていたようです。つまり「お得感」があるんですね。この機会を逃すまいと、財布の紐はゆるみがちになります。
「互酬性の規範」は、 Aさんにも当てはまりました。私という取引先から得られる満足度が、自分の提供できる価値より大きいとなると、「お返しをしなければ」との思いに駆られるんですね。それは金銭的なものになるほかありません。
外見に負い目がある彼は、「互酬性の規範」に従い、愛人に使える毎月の限度額である40万円から、時には50万円以上の金額を、私という1社(者)に集中させることに相成りました。分厚い札束をまるまる頂いているわけではございませんが、物資の提供も含めてそのくらいのお取引をさせて頂いております。自分が思うよりも「上」の愛人を手に入れたAさんは、非常に満足しておられるようです。
富裕層の男性は、基本的に合理主義で、コストパフォーマンス(お得感)を重視されます。「この女性を愛人にできるのはお得だ」と思って頂けましたら、あとは互酬性の規範によって契約額を上げて頂く。愛人営業のルールは、こうしてマニュアル化できるほどシンプルなのでございます。
<文・東條才子>