ワインスタイン氏が率いるワインスタイン・カンパニー制作のリアリティショー「Project Runway」は、2008年に“TV放送界のピュリッツァー賞”ともいわれるピーボディ賞をリアリティ番組として初めて受賞している真ん中がスピーチするワインスタイン氏。 photo by ANDERS KRUSBERG / PEABODY AWARDS via flickr(CC BY 2.0)
大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ騒動に揺れるハリウッド。「ニューヨーク・タイムズ」紙と「ニューヨーカー」誌の報道をキッカケに、ケイト・ベッキンセール、エヴァ・グリーン、アンジェリーナ・ジョリー、グウィネス・パルトローといった大物女優たちが一斉に声を上げているのはご存知のとおり。
今やそのほかの業界人にも飛び火し、社会問題にも発展しているが、そもそも渦中にいるハーヴェイ・ワインスタインとはどのような人物なのか? キャリアを振り返ると、「大物プロデューサー」という一言では片付けられない影響力を持っていたことがわかる。
‘79年に弟のボブ(彼もセクハラ被害を訴えられている)「ミラマックス」を設立すると、『セックスと嘘とビデオテープ』、『クライング・ゲーム』、『パルプ・フィクション』など、多くの映画賞を賑わせる作品を次々に輩出。’90年代のインディー映画ブームの立役者となった。
クエンティン・タランティーノや、マイケル・ムーア、ケヴィン・スミスといったクリエイターを支え、‘98年にはプロデューサーとして『恋におちたシェイクスピア』でアカデミー作品賞を受賞。’05年には「ミラマックス」を去り、自らの名を冠した「ワインスタイン・カンパニー」を設立した。
その後も『英国王のスピーチ』、『アーティスト』といったアカデミー賞作品を配給。新進気鋭の才能を育てながら、国内外の作品を次々賞レースに送りこんだワインスタインは、’90年代から現在に至るまでのハリウッドそのものを形作ったと言ってもいい存在なのだ。
さらには貧困やエイズ、銃規制や医療問題にも積極的に取り組み……と、もはや超人。そんな人物がセクハラ常習犯だったのだ。しかも、そのセクハラはなんとも情けないものであった。