奄美の古仁屋港について、歩き始めた。もちろん、足を引きずりながらである。普段なら徒歩十分のところを15分ほどかかって「嶽乃湯」にたどり着いた。
文字通り昔ながらの銭湯で、戦前から営業しているという。靴箱は木製でカギも木製である。少し朽ちているところが時代を感じさせてくれてなおいい感じを醸し出している。そして更衣室のロッカーに至っては木製であるだけでなく数字も全て漢数字で表記されている。「11」ではなく「拾壱」である。
てっきりハーフマラソン出場者でごったがえしているのかと思っていたが、そんなことはなかった。それでも、宮崎県から来たという同好の士が一人いた。体形と足の引きずり方を見ていればそういうのは大体わかる。
幸いこの銭湯には水風呂があった。熱い風呂と水風呂へ交互に入るのは筋肉の回復にもいいに違いない。足裏のアイシングにもなる。たしか、青学のドキュメンタリーで寮に浴槽が二つあって駅伝の選手たちが交互浴を実践するのを見た記憶もある。私は何度も二つの湯舟を行き来した。
あらためて久保田氏に報告を入れた。
「銭湯の水風呂で冷やしました……」
結果的にはそれで正解だったようだ。加えて、注意事項を伝えられた。
「長引くようでしたら、痛みが引くまでランニングは控えてください。その間は上半身の体幹トレーニングに努めてください。鍼治療がよいのですが、足裏は地獄の痛みです」
なお、その後私は猫ひろし先生推奨の足裏トレーニングを採用している。必要なものはただ一つ、というか二つ、「ゴルフボール二個」である。今もゴルフボールを踏みながらこの原稿を書いている。
「太ももやふくらはぎなどの『脚』をストレッチすることはあっても、ついつい足のケアはおろそかになりがちです。そのため、『足底筋膜炎』など、足裏を故障してしまうランナーも少なくありません。そこで、僕は自宅でテレビを見ながら足裏にゴルフボールを置いて、軽く踏みつけながらぐるぐると回して足裏をマッサージしています。ゴルフボールの硬さが気持ちよく、足底筋膜炎の予防にもなるそうです。」
(“猫ひろしのマラソン最速メソッド”ソフトバンク新書より)
夕方に再び加計呂麻のピッ子さん宅(※筆者の下宿先)に戻った。あちらが気を聞かせてくれて地元の公民館のようなところでやっているパーティに連れて行ってくれた。ほとんどの場合、誰かが歌っているとのことで、元ちとせや中孝介のような歌手を生み出した土地柄ということもあり、レベルは高いようだ。「大当たり」の日であれば、近くにおばあちゃんが住んでいるというUAの歌が生で聴けるとのことだ。
ちなみにこの日は……あとは怖すぎて書けない。走り切った疲労感もあり、早々に退散した。(続く)
【タカ大丸】
ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『
ジョコビッチの生まれ変わる食事』(三五館)は12万部を突破。最新の訳書に「
ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。
雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。
公式サイト
ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『
ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部を突破し、現在新装版が発売。最新の訳書に「
ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。10月に初の単著『
貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)を上梓。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。