来年ロシアで開催されるサッカーのワールドカップ(W杯)でも、米プロフットボールリーグと同様に、Facebook、ツイッター、米Snapchat(スナップチャット)が各試合のハイライト映像をオンライン配信する権利を米国での放送権を保有するFOXから取得することを目指していると報道されている。
FOXは2018年と22年のW杯の米国での放送権を得るため4億ドル(約448億円)余り支払ったと報じられている。同社はFOX Sports を通じて、モスクワの象徴的な赤の広場にスタジオを設けて、1か月のワールドカップのトーナメントに350時間の番組を放映する計画だというが、Facebook、ツイッター、Snapchatなどにハイライト動画配信の権利を与えて、新たな収入源を確保する可能性が出てきた。1社に独占的な権利を付与するかもしれないし、あるいは、数社に権利を付与するかもしれないが、どのようになるか今後注目しておくべきだろう。
こうした状況もあってか、米国ではテレビ離れが進んでいる。そんな中にあって、ライブスポーツは、ライブ視聴率の顕著な低下トレンドに対して、テレビ業界で最も強力な防波堤であった。サッカーやバスケットボールのファンは、ライブ中継を視聴する。オンデマンドで視聴する人は少ないのだ。そのため、スポーツイベントのテレビ広告は、高価格で維持されているのである。
NFLの試合は、地上波のCBSおよびNBC、また、ケーブルチャンネルであるNFL専門局のNFL Network(NFLネットワーク)でも多くの人が視聴してきた。しかし、今はもうNFLの試合動画は、ハイライト動画かストリーミング動画の違いがあるにせよ、ツイッター、ユーチューブ、Facebook、Amazonなどで視聴できるようになった。
近い将来、スポーツコンテンツが、SNSやソーシャルメディアなどIT企業が提供するプラットフォーム上に完全移行してテレビ放送が無くなるのだろうか? 今後の行方が注目される。
<文/丹羽唯一朗>