北朝鮮ミサイルのせいで開催が危ぶまれる平昌五輪、しかし韓国側は「北の参加を歓迎」

韓国にとっては朝鮮半島の平和と安全をアピールする絶好の機会

 アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長が激しい舌戦を繰り広げ、最悪の場合、朝鮮半島が再び戦禍に巻き込まれそうな様相を呈し始めた。このような状況のなか、2024年夏季オリンピックのパリ開催を決めたフランスが、「選手団の安全が担保できないのであれば、平昌五輪への参加を取りやめるかも知れない」と不参加の意思があることを示唆したのだ。  このような動きは、フランスだけではなく、特にヨーロッパのいくつかの国でも出ていて、韓国政府は各国にある大使館を通じ、平昌五輪の安全性の説明に躍起だ。  安定しない朝鮮半島情勢を加えれば、韓国は平昌五輪に向け四重苦を強いられていることになる。  そんな状況のなか、北朝鮮が平昌五輪に参加するかも知れないというニュースが飛び込んできた。その可能性に言及したのは、文化体育観光部のノ・テガン次官で、彼は滞在先のニューヨークで、外国記者に向けて自信満々に北朝鮮の平昌五輪参加の可能性を語った。  ノ次官によれば、IOCを単一の窓口にしながら、北朝鮮関係者との接触を図っており、IOCの担当者も仲介の役割をしっかりと果たしてくれていると言う。  ノ次官は外国記者との懇談会の場で、過去の南北スポーツ交流の傍らには北朝鮮の「前例のない脅威」があったが、いつも劇的な形で成功を収めてきたと語った。  この件に関しては、北朝鮮のチャン・ウン五輪委員会委員もオリンピックチャンネルのインタビューに対し「スポーツと政治は別だ。平昌五輪(参加)に問題はない」と答えたことがある。  暗雲が立ち込める朝鮮半島情勢のなか、北朝鮮の平昌五輪参加が正式に決定すれば、韓国としては朝鮮半島の平和と安全を訴える絶好の材料となる。平昌五輪の成功に向けた、大きなカギを握っているのが北朝鮮という皮肉な話ではあるが。 <文・安達 夕 @yuu_adachi
Twitter:@yuu_adachi
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