5分で終わった東京朝鮮高校無償化裁判。1200人集結した集会で支援者ら悔しさ爆発
原告が主張する裁判の主な焦点は3つある。1.就学支援金の受給資格、受給権は学校ではなく生徒にあること。2.施行規則(ハ・その他)を削除したことは、教育の機会均等に反する。またハの削除は政治的理由であること。3.東京朝鮮中高学校は指定の基準をすべて満たしているので就学支援金制度の対象である。
それにし対し国は、朝鮮高校は、朝鮮総連や北朝鮮の支配下に置かれている可能性があり、資金流用などの疑惑も払拭できないと主張し争ってきた。
裁判が始まると東京地裁正面左側の門の前には各マスコミ取材陣が円形に陣取り、正面右側の門の前には朝鮮高校の支援者たちが横断幕を掲げシュプレヒコールを上げていた。
不当判決の幕が掲げられた瞬間、マスコミ陣の後ろで待機していた支援者から「ふざけんな」「朝鮮人を差別するな」「子どもたちの未来を奪うな」などの怒号と鳴き声が響き渡り、近くにいた反朝鮮総連をアピールする団体とこぜり合いになり警察が静止するなど現場は一時騒然とした。
その後も30分ほど不当裁判に抗議するとシュプレヒコールを上げ支援者らは退散した。その後、場所を移して午後6時半からは「東京裁判集会」を日本教育会館一ツ橋ホール(東京・神保町)で開催し、開始20分前には満席で、通路に座ったり、立ち見の人が出るなど最終的に1200人(主催者発表)が会場に詰めかけ怒りの声を上げた。
集会では、弁護団や各地の支援団体代表者、韓国の支援団体、東京朝鮮高校校長、広島朝鮮高校校長、主催団体などが壇上に立ちさらなる団結と差別に負けずに裁判闘争を続けようと参加者へ訴えた。
10人の弁護団を代表して、李春熙(リチュニ)弁護士が、「まず申し訳ないと謝罪したい。裁判長は、我々の主張を一切無視し、政府の主張を丸呑みしてしまった。正直、ここまでひどい負け方をするとはまったくの想定外だった。高裁では必ず勝利して最後まで勝ち抜く」
同じく弁護団の金舜植(キム・スンシク)弁護士は、「判決後の記者会見で話してくれた生徒の勇気に感謝したい。日本政府が朝鮮高校を無償化対象から除外した理由は、政治的外交的理由というまったくの後付、ヘリクツだ。大阪では除外理由が政治的外交的理由であると認められたが、東京はこれまでの裁判経緯から広島型の負け(7月19日判決-敗訴)はありえない…」と言葉を詰まらせるも、「12日に今年の司法試験の合格者が発表され、朝鮮高校卒業生から2人の合格者が誕生した」と金弁護士から発表されると会場は割れんばかりの大きな拍手で包まれた。
最後に壇上に立った「東京朝鮮高校生の裁判を支援する会」の長谷川和夫共同代表は、「在日1世の人たちは大変な苦労を重ね、現在は4世まで民族教育を守り抜いてきた。日本の世論へ広く訴え、勇気を持って全国的な運動を巻き起こしていきたい」と今後の活動方針を表明した。
集会の最後は、文部科学省前での抗議集会で歌われている「声を集まれ歌となれ」を立ち上がった聴衆ともに歌い集会は終了した。
<取材・文・撮影/中野鷹>
なかのよう●北朝鮮ライター・ジャーナリスト。中朝国境、貿易、北朝鮮旅行、北朝鮮の外国人向けイベントについての情報を発信。東南アジアにおける北朝鮮の動きもウォッチ。北レス訪問が趣味。 Twitter ID@you_nakano2017
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