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介護保険は、高齢で身体能力が衰え介護が必要な人を、社会全体で支えるためにつくられた公的な保険制度です。2000年から介護保険制度はスタートしました。40歳以上の人は原則加入し、保険料を納める必要があります。ただ高齢者の増加に伴い、保険制度の運用にさまざまな課題も出ています。
介護保険は公的な保険制度の一つで、運営の主体は全国の市区町村になります。国や都道府県ではありません。加入者は日本国内に居住する40歳以上の人で、保険料を納付する「被保険者」になります。運営の主体が市区町村になるため、市区町村の事情により納める保険料は異なってきます。国民健康保険が、市区町村よりも大きな広域単位で運営が行われているのとは、事情が異なります。
そのため保険料についても、全国で比較すると大きな差があります。平均的な人の場合でも、最低額は月額2800円程度、最高額は8600円程度になります。おおむね月額5000円から6000円の金額になっています。例えば、高齢者の住民自体が少ない、介護を必要としない高齢の健常者が多い、といった特性のある地域の介護保険料は、他と比較して安くなる傾向があります。
自治体による差だけでなく、その人の年収によっても金額は大きく異なります。自治体ごとに、年収に応じて12~16段階に細かく分かれ保険料が決まられています。例えば65歳以上の人の場合、生活保護を受けている人の保険料は、月額で2000円程度ですが、年収2000万円を超す人の保険料は、月額1万8000円程度と、かなり大きな差があります。しかし65歳以上の人の平均的負担額が、すでに5000円を超えており、これ以上の負担増はしだいに難しくなっています。
介護保険の加入者は、40歳以上の人全員が対象ですが、年齢により納付方法が異なります。65歳以上の人(「第1号被保険者」という)は、受給する公的年金が年額18万円以上の場合は「特別徴収」といわれ、受給する年金からの天引きになります。年金額が18万円未満の人は「普通徴収」といって直接納付します。もし介護サービスが必要となり、それ受ける立場になっても、保険料を支払う必要があります。
現役世代となる40歳から64歳までの人(「第2号被保険者」という)は、勤務先の健康保険や国民健康保険など、自分が加入している公的な医療保険に上乗せして納付します。原則として健康保険などと一緒に天引きされるため、実際に支払っているという実感が薄いかもしれません。