しかし、スペースXはさらに、一度に100人以上の人間を火星まで送り届けることができる、巨大なロケットと宇宙船「惑星間輸送システム」の開発も進めている。ロケットや宇宙船が大きくなり、1機のロケットに多くの人が乗れるようになれば、1人あたりの運賃は下がることになる。マスク氏は「新築を買うくらいの価格になる」と語っており、つまり数千万円で宇宙に、それも火星へ行けることになる。 　もちろん、惑星間輸送システムが本当に完成するかはまだわからず、完成しても本当に運賃が数千万円になるかの保証もない。そもそも数千万円でも、海外旅行などと比べれば桁1～2つ高い。 　それでも、厳しい選抜試験と訓練を経て選ばれた、ごく一部の宇宙飛行士しか宇宙に行けなかったころに比べれば、誰もが宇宙旅行に行ける時代が近づいてきているのは間違いない。さらに、ひとたび運用が始まれば、徐々に価格がこなれてくる可能性もある。 　私たちがこの宇宙服を着てロケットに乗り込み、宇宙へ飛び立てる日は、明日明後日のことではないかもしれないが、少なくとも遠い未来の夢物語ではなく、近未来の現実の話になろうとしている。 ＜文／鳥嶋真也＞ とりしま・しんや●宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関するニュースや論考などを書いている。近著に『イーロン・マスク』（共著、洋泉社）。 Webサイト: http://kosmograd.info/ Twitter: @Kosmograd_Info 【参考】 ・Elon MuskさんはInstagramを利用しています:「First picture of SpaceX spacesuit. More in days to follow. Worth noting that this actually works (not a mockup). Already tested to double…」 Instagram（https://www.instagram.com/p/BYIPmEFAIIn/） ・Dragon | SpaceX（http://www.spacex.com/dragon） ・SpaceX to Send Privately Crewed Dragon Spacecraft Beyond the Moon Next Year | SpaceX（http://www.spacex.com/news/2017/02/27/spacex-send-privately-crewed-dragon-spacecraft-beyond-moon-next-year） ・Elon Musk posts first photo of SpaceX’s new spacesuit | Ars Technica（https://arstechnica.com/science/2017/08/elon-musk-posts-first-photo-of-spacexs-new-spacesuit/） ・Elon Musk teases SpaceX spacesuit concept – SpaceFlight Insider（http://www.spaceflightinsider.com/organizations/space-exploration-technologies/elon-musk-teases-spacex-spacesuit-concept/）