今回、編集部は横這氏にアポイントを取り、年末に向けて今から仕込みたい銘柄について取材をした。
「まず、前回の注目銘柄を振り返ってみると、この夏は比較的相場がよく、想定していた好材料も運よく早めに出てくれたりして、うまく時流に乗れたと感じています。成績としては十分すぎるほどの出来でした。今から買う銘柄も基本的には、『これ以上は下がらないだろう』、あるいは『下がってもそれほど損はしないだろう』という割安な銘柄に注目しています。そのうえで、大株主の動向を見ながら『好調な業界か』『株主優待の新設』『昇格による市場変更』『株価対策に前向きか』『親会社からTOBされる可能性』などをイメージしながら銘柄を選定しました」
横這氏が最初に挙げたのは、
平山HD。
「製造業を中心とした人材派遣業の会社です。人手不足から、人材派遣業は好調が続いています。平山HDの株価は右肩上がりを続けていますが、時価総額は23億円、PBRは1.04倍といまだ割安に放置されています。まだまだ上昇の余地はあるでしょう」
●平山ホールディングス[JQ・7781]
目標株価2000円
売買単位 100株
現在株価 1330円
予想PER 11.62倍
実績PBR 1.04倍
配当利回り 2.26%
精密機器のセクターではあるが派遣業。改正労働者派遣法で小さな規模の会社からなくなり、大手に集約していきそう。株価は急騰したが、まだ割安な水準。
続いて、会社の経営方針を分析し、株価を上げる好材料、いわゆる「カタリスト」がありそうな銘柄を挙げてもらった。好材料を内包していると期待できるのが
オークファン。
「’16年2月に株価2倍高となる急騰劇を演じたのですが、そのとき、資本業務提携や事業拡大を相次いで発表しました。また、’13年には5分割をしたこともあり、経営陣からは少し株価へのこだわりを感じます。横這いも続いていて、ここからの再浮上を期待しています」
●オークファン[東マ・3674]
目標株価1350円
売買単位 100株
現在株価 886円
予想PER 16.23倍
実績PBR 3.7倍
配当利回り 0%
過去に5分割を行ったことや、資本業務提携などの発表で株価には少しこだわりがある様子。横這いによるしこりをなくした状態での再浮上を期待している。
次は、親会社による再編期待銘柄だ。横這氏はこれまでにも大崎エンジニアリングの大株主として、親会社からの公開買い付けに関し、大きな利益を上げることに成功するなど、大株主の動向から再編の可能性を探ることを得意としている。
「
伊勢化学工業は20年赤字なし、ヨウ素の製造販売で国内首位の化学メーカーです。PBRは0.55倍と割安なので、今の水準で買っても手堅いと思います。また、大株主の旭硝子が52%を所有していて、伊勢化学工業の取締役6人中4人が旭硝子出身。12月の決算が発表される2月には、子会社化など、何かのIRがあるかもしれません」
●伊勢化学工業[東2・4107]
目標株価800円
売買単位 1000株
現在株価 516円
予想PER 0倍
実績PBR 0.55倍
配当利回り 2.33%
20年赤字なし、PBRは0.55倍と割安。旭硝子が52%超の大株主で、伊勢化学工業の取締役6人中4人が旭硝子出身。2月の決算発表時まで保有したい。
筆頭株主がファンドに移り、株主にも恩恵がありそうな銘柄として挙げたのが、
ホリイフードサービス。
「4月、投資ファンド・インテグラルが出資するTBIホールディングスがTOBし、筆頭株主がTBIに移りました。この2年、赤字が続いていましたが、TBI社は飲食業を展開しており、TBI社のもとで赤字店舗整理、店舗運営ノウハウ、共同購入によるコスト削減など、再建が期待されます。さらに8月、ペッパーフードサービスと『いきなりステーキ』のフランチャイズ契約を締結するという好材料を発表しました。株価は急騰していますが、さらなる上昇を期待しています」
●ホリイフードサービス[JQ・3077]
目標株価1750円
売買単位 100株
現在株価 913円
予想PER ―倍
実績PBR 1.93倍
配当利回り 0.77%
筆頭株主がファンドに移り、株主にも恩恵がありそう。ペッパーフードサービスのフランチャイズとして「いきなりステーキ」が10月下旬にはオープン予定。
親子上場の解消の流れから、グループの再編の可能性を予想しているのは、
ミサワホーム中国。
「ミサワホーム中国はミサワホームの子会社。過去には北陸ミサワホーム、東北ミサワホームなど、地域ごとに子会社がありましたが、今は再編されて上場廃止となりました。子会社で残っているのは、ミサワホーム中国のみ。親会社のミサワホームはクオカードの株主優待を取りやめるなど改革を行っていて、最後の再編にも手をつけるかもしれません」
●ミサワホーム中国[JQ・1728]
目標株価470円
売買単位 1000株
現在株価 278円
予想PER 11.88倍
実績PBR 0.48倍
配当利回り 1.80%
これまで各地域にあったミサワホームの子会社は再編され、残る子会社はミサワホーム中国のみ。ミサワホームは改革に前向きで、再編によっては意外高も?
最後の1銘柄は、
医学生物学研究所。
「今年4月に化学メーカーのJSRが公開買い付けを行い、医学生物学研究所の筆頭株主になっています。中長期目線での大化けにも期待しています。また、この数年、ノーベル賞が発表される10月頃に期待感から跳ね上がることがあるので、短期目線でも面白そうな銘柄です」
●医学生物学研究所[JQ・4557]
目標株価700円
売買単位 1000株
現在株価 489円
予想PER ―倍
実績PBR 1.81倍
配当利回り 0%
化学メーカーJSRが公開買い付けを行い、親会社に。10月から慶応大とJSRの共同研究に参画。ノーベル賞発表の前後に動意づくことが多く、短期目線もあり。
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※株価などのデータは8月28日時点のものです
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