では、電力・ガス取引監視等委員会が同日に公表した5月の需要種別販売電力量の実績(概要)を紹介します。
電気事業者の販売電力量の総量は634.7億kWhでした。内訳は特別高圧:190.8億kWh、高圧:227.0億kWh、低圧電灯:191.0億kWh、低圧電力:24.9億kWh、その他需要:1.0億kWhです。このうち新電力の販売電力量の総計は65.8億kWhで販売電力量全体に占めるシェアは約10.4%でした。需要種別シェア実績は特別高圧6.9%、高圧18.4%、低圧電灯5.2%、低圧電力2.8%-となっています。わずかですが増加しています。
また、みなし小売り電気事業者の販売電力量(低圧)に占める自由料メニューの平均割合は低圧電灯で約33.7%、低圧電力で約31.4%となっています。新電力分も含めた販売電力量(低圧)に占める自由料金メニューの割合は低圧電灯で約37.3%、低圧電力で約33.6%となっています。スイッチング率を上回っている点は注目ですね。
今回は専門的な数字がたくさん登場してきましたが、スイッチングを検討する際の参考にしてみてはいかがでしょうか。ケータイ番号持ち運び(ポータビリティー)制度への対応と同様、電力契約の変更についても、消費者は冷静な対応を示しているように思われますね。それとも、料金メニューやサービス内容にスイッチングを積極的に促すほどの魅力を感じていないのでしょうか。もうしばらく推移を見守りましょう。
<文/ 藤森 禮一郎>
ふじもりれいいちろう●中央大学法学部卒。電気新聞入社、電力・原子力・電力自由化など、主としてエネルギー行政を担当。編集局長、論説主幹、特別編集委員を経て2010年より現職。電力問題のコメンテーターとしてテレビ、雑誌などでも活躍中。主な著書に『電力系統をやさしく科学する』、『知ってナットク原子力』、『データ通信をやさしく科学する』、『身近な電気のクエスション』、『火力発電、温暖化を防ぐカギのカギ』、『電気の未来、スマートグリッド』(いずれも電気新聞刊)など多数。
<記事提供:
ファイナンシャルフィールド>
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