韓国政府が労働者のレジャー費用を支援する制度を発足! ただし自営業者は対象外

狙いは国内需要の活性化か

 これは 一見、有給休暇を促し、給付金も受け取れる良好な制度ととらえられがちだが、単なる「バラマキ」だと不満の声も上がっている。  国家予算があてがわれているにも関わらず、この制度が適用されるのは会社員のみで、自営業には適用されない。同じ労働者という枠内で差別が生じているという批判だ。  また、企業側にとってもいい話ではない。韓国では長時間労働が当たり前だとされており、有給休暇をとることを快く思わない。世界28カ国を対象に行った働き方に関する調査によると、韓国では1年のうちに15日ある有給休暇をわずか8日しか使用しないとして、6年連続で休暇取得率ランキングの最下位を記録している。しかし、「チェックバカンス制度」によって、企業は従業員に積極的に休暇を与えなければならない。また、10万ウォンの積立を行うため、金銭的な負担も大きい。  したがって、制度への参加も指名でもしない限り、積極的に参加する企業はあまり見られないと予想されている。  2009年、日本でも国内に住民票がある全国民を対象に「定額給付金」が支給されている。  当時、緊急経済対策の一環として実施された生活支援策で、国民一人当たりに支給された金額は1万2千円(65歳以上と18歳以下は2万円)。定額給付金のために計上した予算は総額2兆円規模。政策の発表当時から「無意味なばらまき」だと批判されており、支給後にもその経済的効果には大きな疑問符が付いている。  現に内閣府が公開した「定額給付金に関連した消費に関する調査」結果を見ると、定額給付金が消費として利用された割合は、「100%」の支出がトップで50.0%であると同時に、「支出0%」つまり「利用していない」世帯も26.9%にのぼり第2位。国民の消費を促したとは言いがたい。  翌年の2010年には内閣府も定額給付金の経済効果について、「消費の増加は当初の見込みを下回った」という試算を発表している。  今回、韓国政府が予算を拡大してまで「チェックバカンス制度」を導入する背景には、世界で高まりつつある「嫌韓ムード」によって観光産業が打撃を受け、国内経済が低迷し続けていることが関連している。  今年3月には、韓国が米軍の「高高度防衛ミサイル(THAAD)」を配備したことに中国が反発し、韓国への団体旅行禁止などを実施。これが引き金となり、中国では韓国製品の不買運動も起こっている。また、昨今緊迫している朝鮮半島情勢によって、韓国への観光旅行も激減している。今年に入って外国人客や留学生による韓国内の旅行需要は、MERS コロナウイルスの感染が広がった2015年7月の最低額を上回り、歴代最低を記録。  来年には平昌五輪も控え、後がない韓国。頼みの綱は国民による国内需要の活性化だ。 <文・安達 夕 @yuu_adachi
Twitter:@yuu_adachi
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