投資信託の妙味はわかった。とはいえ、もう少しリスクを取ってみたいという人もいるだろう。月1万円でもできる個別株の投資方法を前出の藤川氏に聞いた。
「まずは投資方法が重要です。初めての株式投資には、ドルコスト平均法がオススメ。投信の積み立てと同様、個別株を毎月一定額買い付ける“るいとう”という手法です。例えば毎月1日にこの銘柄を1万円分買う、といった感じですね。株価が高いときは少ししか買わないことで高値購入を回避し、安いときには多くの株を買えるというメリットがあり、暴落を恐れることなく投資ができます。地盤のしっかりしている会社を投資先に選べば、ゆったり長期投資も可能です。またマネックス証券のワン株のような1株からでも購入できるシステムを利用し、値動きや仕組みに慣れるのもいいですね」
そして藤川氏は「月1万円の投資であれば低位株」と推奨する。
「低位株とは、1株500円以下のものです。これらは3万~5万円と購入資金が安く、動きだすと値上がり幅が大きい。業績や将来性が評価されて、10倍以上の大化けをする可能性もあります。サイバーステップ(3810)は今年1月に375円だった株価が7月上旬には7450円と、20倍近くの値上がりです。大化けする夢が低位株には詰まっています」
なんとも夢のある話だが、当面は2倍でも十分だろう。銘柄選びのポイントはなにか。
「トレンドをしっかり押さえることです。ゲーム関連やインフラ、国策銘柄などはその可能性を秘めています。また介護や医薬品など、今後の伸びに期待できるものもアリ。例えば国土交通省の電柱地中化政策に関連しているゼニス羽田HD(5289)。官公庁の需要が大きい上下水道用の機械メーカー、前澤工業(6489)も災害対策による需要が見込めます。このような低位株は通常よりも高い利回りの場合が多く、投資先としては優秀ではないでしょうか」
しかしながら、投資は一朝一夕にいかない世界。両氏に「初心者が肝に銘じるべき鉄則」を聞いたところ、両者とも「買う前に引き際を決めておくこと」だった。
投資の鉄則は自分の心に惑わされず、冷静にルールを守ること。しっかりと足元を固め、一歩ずつ堅実に投資道を歩んでいこう。
<低位株「2倍」目標銘柄>
・ゼニス羽田HD
【東2・5289】
株価345円
電線共同溝の自社製品を持っており、国土交通省の防災、景観保護目的の電柱地中化政策関連銘柄として注目されている。実際に民間委託されれば大化けもある
・ウチヤマHD
【東1・6059】
株価464円
介護、飲食、カラオケ事業を3本柱として経営。主力の介護事業が好調で、今年5月には過去最高益をマーク。今後の少子高齢化社会において伸びしろあり
・イワキ
【東1・8095】
株価435円
医薬品の販売や原料を扱う商社。バイオ関連事業や、医療機器販売も手掛ける。ジェネリック医薬品が好調。化粧品事業も展開し、美容皮膚の化粧品業界でトップのシェアを持つ
・はせがわ
【東1・8230】
株価491円
仏壇のCMで有名。少子高齢化で需要増が見込めるほか、家具メーカーやスマホゲームとのコラボや、現代に馴染む革新的なデザインの仏壇を作るなど、拡大の兆しあり
・前澤工業
【東1・6489】
株価405円
上下水道用設備機械の大手メーカー。ゲリラ豪雨対策などインフラ需要が拡大する見込みがあるほか、バイオガスを生成するバイオマス事業なども手掛ける。決算も好調
(※8月16日現在)
【横山光昭氏】
家計再生コンサルタント。家計再生を支援するFP会社、マイエフピー代表。近著に『
50歳からの「お金の不安」がなくなる生き方』(大和書房)など、ほか多数執筆
【藤川里絵氏】
フィナンシャルアカデミー講師。多数の投資講座を担当するFP講師。著書『
月収15万円からの株式投資 数字オンチの私が5年で資産を10倍にした方法』が扶桑社から刊行予定
取材・文/山野祐介 行安一真(本誌)