固定費を削って月1万円から始める投資生活
少々停滞気味の株価だが、国策として投資が推奨されている以上、「投資をしないことがリスク」であることは、明白。それでも一歩を踏み出せない人のための始め方を識者から伝授してもらった。
多くの投資未経験者は、まとまった元手資金が必要という思い込みのために、投資に踏み出せないケースが多い。ベストセラー『3000円投資生活』において、わずかなお金でも積み立ていくことで資産を増やしていけることを証明した家計再生コンサルタントの横山光昭氏に、毎月1万円から始められる投資の極意を教わった。
「家計に余裕がない場合は、支出を削減すること。そして浮いたお金を投資資金に充てましょう。削減のために目を向けるべきは固定費。なかでも通信費は、格安SIMに乗り換えるだけで、毎月の携帯代が1万円なら7000~8000円ほどの節約になります。また保険はかけすぎてないかなどを見直し、余剰を貯金に回します。投資資金は、あくまでも節約したお金から捻出することが重要です」
同様に、5年で資産を10倍にしたフィナンシャルアカデミー講師の藤川里絵氏も「まずは節約」と重視している。
「投資資金をつくるためには、徹底的に家計簿を見直します。ムダを可視化する家計簿アプリ“マネーフォワード”がオススメ。銀行引き落としやカードの支払いが、自動的に光熱費や通信費といった費目に分類されるので、誰でも簡単にムダを可視化できます。同時に、コンビニや食事などの日常の支払いは予算を決めてSuicaで行えば使いすぎの防止に。そういった手間が面倒な人は、強制的に銀行の定額自動送金サービスを利用します。例えば月収が30万円であれば、毎月5万円を他口座に自動送金し、25万円の収入だと思って生活するのです。最初から5万円ないものだと思って生活しても、意外と成り立ちます」
なんとか月1万円の資金が捻出できれば、いよいよ実践。
横山氏は、「貯金と並行させる積み立て型の投資信託こそがベスト」と述べる。投資信託とは運用の専門家が資金を集め、その資金を債券や株式などに投資し、利益を分配する金融商品で、それを毎月積み立てで購入していくのだ。
「魅力はその手軽さ。定期預金の積み立てのように毎月一定額、投信を購入する設定をするだけ。怠惰な人こそ積み立て投信をすべきです」(横山氏)
「『eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)』や『世界経済インデックスファンド』などのバランス型投資信託ですね。これらは投資先に債券と株式などがバランスよく組み込まれているので、自分で投資先を考えることなく、分散投資が可能。時間の経過とともに資産配分の比率が変化した際の再分配(リバランス)まで自動で行ってくれます。とくにeMAXIS Slimは同社が今まで出していた8資産均等型投資信託と投資先は変わらず、手数料が安くなったので、今注目の銘柄といえるでしょう」(横山氏)
横山氏曰く、一歩進んで自ら資産配分を決定したい人はインデックスファンドがオススメだという。
「インデックスファンドとは、『日経平均株価』『TOPIX』など特定の市場の値動きを表す『指数』への連動を目指す投信です。『ニッセイTOPIXインデックスファンド』や『たわらノーロード国内債券』などがそうで、国内外の株式や債券を投資先としています。これらは、自分で投資先をバランスよく購入する必要があります。最初のうちは株式と債券だけ覚えておけば大丈夫。株式と債券は基本的には反対の値動きをするため、両方を持っていれば、一方が下がったとしたらもう一方が上がる……といった形で損失をカバーできます。基本は海外債券・国内債券・海外株式・国内株式を25%ずつですが、よりリスクを抑えたい場合は、債券を多めにするなど、自分の考えや好みに合わせて、変えてみてください」
【オススメバランス型投資信託】
<eMAXIS Slim バランス8資産均等型>
【東1・8566】
基準価格10145円 1万/月
年率0.22%(税抜)と、バランス型ファンドの中で最安の信託報酬を誇る。投資先は4分の3が国内外の株式・債券、4分の1をリートが占める
<世界経済インデックスファンド>
【東1・8566】
基準価格21439円 1万/月
国内、海外先進国、海外新興国の株式と債券にバランスよく投資を行える。株式と債券の比率が1:1に近く、リスク管理の面でも上々
横山氏は「企業の経営者でも個別株ではなく、実は投信だけやっている人が多い。それだけ堅実な方法だということです」と語る。
<横山式インデックスファンド保有比率>
日本株式15%
海外株式45%
日本債券20%
海外債券20%
横山氏オススメの保有比率。成長が見込めそうな海外株式の比重を高くしている。自分の好みによって変化させよう
まずは固定費を見直して資産をつくれ!
基本放置で資産運用!投資信託の魅力
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