「4つの質問」を駆使すれば、1時間で必ずチーム内の合意形成ができる!

トップダウンだけではパフォーマンスは上がらない

 読者の中には、「なんとまどろっこしいことをやらねばならないのか」と思う人もいるに違いない。「上司の命令に従うのは、部下の義務だろう。なぜ、命令してはいけないのか」と思う人もいるに違いない。  その答えは、どちらのやり方が、パフォーマンスを上げるかということにあると、私は思う。1から10のスケールで、マネジャーはメンバーに、10のレベルのパフォーマンスが発揮されることを期待しているとしよう。  マネジャーが10をやれと、命令をする。一方的に命令されたメンバーは、腹落ちも、納得もしておらず、もしかしたらいやいやアクションしているのかもしれない。パフォーマンスは6しか上がらないとしよう。  一方コーチングを行い、4つの質問で合意形成したとしよう。メンバーが改善したいこと、メンバーがマネジャーにサポートを得たいことをふまえて助言し、さらに異論や懸念を解消するための4つの質問をしていく中で、マネジャーが期待する10のレベルは、その時点で例えば7程度に低下しているかもしれない。マネジャーがやってほしいことと、メンバーが実行したいこととずれが生じているからだ。  しかし、コーチング手法を用いれば、すり合わせと合意形成が緊密にできているので、メンバーのパフォーマンスは上がり、8のパフォーマンスを実現できる。命令による6のパフォーマンスよりも、コーチングによる8のパフォーマンスの方が高いので、コーチングを実践する価値がある。  しかし、コーチング手法を用いるには、マネジャーがひとつの壁を乗り越えなければならない。自らの方針ややり方だけが正しいという固定観念を払拭することだ。メンバーの考え方やプランが、マネジャーのそれよりも成功を生み出すかもしれない・・・このような考え方を持てるかどうかこそが、コーチング実践を実現できるかどうかの鍵に違いない。 ※分解スキル反復演習型能力開発プログラムは、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月。ビジネス書ランキング:2016年12月丸善名古屋本店1位、紀伊國屋書店大手町ビル店1位、丸善丸の内本店3位、2017年1月八重洲ブックセンター4位)で、セルフトレーニングできます。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第45回】 <文/山口博> 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを引き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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