宗教法人の看板は掲げないまでも、実質的には新興宗教と変わらないビジネスが個人単位で活性化している
スピリチュアルブームが始まったのは、テレビ番組「オーラの泉」時代を起点にしてもすでに10年以上前だ。
そのブームは相変わらず翳りをみせないが、その一方で巨大化するスピリチュアルを看板に、団体を形成する動きが増えてきた。時代はすでに個人による”新新興宗教”が乱立しているといっていい。
九州地方の女性ヒーラーは本を出すほど有名ではないが、信仰者は全国で5000人を超す勢いだ。SNSのコミュニティをベースに活動しているため、ほとんど表には出てこない。ネットで検索をすると彼女のセミナーに出たという記述は見つかるが、あくまでインナーサークルでし活動していない。ファンによれば、彼女が人気なのは、「ほしい言葉をくれる」からだという。
関西でセミナーを開けば、全国から信者が100人は集まるほどの人気。その内容はふつうのスピリチュアル本に書かれている内容とほぼ同じだ。有名ヒーラーに習うには数十万円というお金がかかる。しかし彼女の信者は不思議なことに、数万円を支払い同じ内容を彼女から聞きたがるのだ。
その彼女がついに東京支部を開いた。表向きはカフェ併設のゲストハウスだが、実態はスピリチュアルの指導場だ。他にも都内を中心として活動するヒーラーがファンを中心に宿泊施設をリゾート地に設立するといった、いわば宗教団体的な動きは各所で報告されている。
スピリチュアルを求める人の間では、スピリチュアルは宗教ではないと信じている人がいる。しかし、ヒーラーが何かしらのご神託を得て、その言葉をファンに伝えるのは十分に宗教的だ。
そもそもどの新興宗教も最初は、ご神託を受けるただの一人の霊能者からはじまっている。
田舎町の一人の人間がある日いろいろな不思議なことをつぶやきだすといったストーリーがあり、そこからそのご神託を聞きたい悩める人々が家の周囲に集まりだし、集団ができた時点でその人は教祖になる。
オウムのはじまりもたいして変わらない。ヨガの指導者であった麻原彰晃が解脱をしたと言い出したからに他ならない。人間の限界を超える考えられる能力をヨガ教室として弟子たちに伝授したのだ。オウムがヨガ教室をはじめたのが1984年、宗教化したのが1987年、最初の死亡事件を起こしたのが1988年だ。たった4年のあいだの話である。