スペイン語メディアが報じた元大統領候補マルコ・ルビオ暗殺計画に潜むベネズエラの闇

続々と出てくる麻薬密売への関係証言

 カベーリョが麻薬密売に関係しているという情報は、コロンビアの元麻薬密売人フランシスコ・ハビエル・カルドナがマイアミの紙面『Las Americas de Miami』に昨年2月に語っている。彼は<「カベーリョはエル・チャポよりももっと力を持っている」>と述べ、<彼と彼の弟ホセ・ダビッドが麻薬カルテル「Cartel de los Soles」を率いている>と説明し、<「今、その組織は『Fenix』と名前を変えて元軍人や元警官によって構成されている」>と述べた。  <コカインを毎月40-50トン送っている>ことや、それを栽培している<コロンビア革命軍と民族解放軍に武器と交換している>という。<アルカイダやイスラム国とも取引している>ことにも触れ、現在<メキシコのカルテルとも取引している>ことにも言及した。  コロンビア革命軍は今年解散し、民族解放軍も解散の為の交渉をコロンビア政府と現在行っている。このことから、カベーリョの麻薬組織はコロンビアで別のルートから麻薬を手に入れているはずである。しかも、今年のコロンビアのコカインの生産は昨年を上回っているという状況だ。  更に、カルドナが語っていることで無視できないのは<セリア・フローレスもこの麻薬組織に関係している>というのである。セリア・フローレスはマドゥロ大統領の夫人である。<彼女の甥っ子がハイチで米国の麻薬取締局(DEA)の罠に引っかかって逮捕された>という事件もあった。  即ち、現在のベネズエラは国家の指導者層のレベルで麻薬組織が築かれているという可能性さえあるということなのである。(参照:「El Comercio」)  この麻薬組織の発送の<中継地になっているのがキューバだ>ということはチャベスの忠実な部下でコルベット艦のキャプテンを務めていたレアムシ・サラサールが亡命先の米国でDEAに2015年1月に告白している。(参照:「El Nuevo Herald」)  マルコ・ルビオはマドゥロ大統領を囲んでいる側近らが彼らの特権を利用して国家レベルの麻薬組織を形成していることを調査している急先鋒なのである。それが、その麻薬組織のリーダーのカベーリョにとっては邪魔な存在だということだと各紙は推測している。  彼を暗殺せよという指示が出されているという情報は<メキシコから入手されたものだ>という。しかし、<その情報源は明らかにされていない>。(参照:「Infobae」) <文/白石和幸 photo by Gage Skidmore via flickr (CC BY-SA 2.0)> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会