スペイン語メディアが報じた元大統領候補マルコ・ルビオ暗殺計画に潜むベネズエラの闇

マルコ・ルビオ

フロリダ州選出の上院議員、マルコ・ルビオ。昨年の大統領選では共和党から出馬、当初はかなり有力視されていた。photo by Gage Skidmore via flickr (CC BY-SA 2.0)

 米国フロリダ州の共和党上院議員マルコ・ルビオ(46歳)を暗殺するように指示した人物がいるというニュースが8月13日に米国そしてラテンアメリカの各紙で報じられた。米国国家安全保障局がこの情報をキャッチしたのは凡そひと月前からだという。現在、彼にはSPがついている。  マルコ・ルビオは昨年の大統領選挙で共和党から出馬している。キューバ移民2世で、ヒスパニック系議員の中では一番注目されている議員である。彼の外交姿勢はタカ派とされており、例えば、カストロがキューバを支配している限り民主化はないとしてオバマ前大統領のキューバとの国交回復には反対した。  何故、マルコ・ルビオが狙われているのか? 理由は、ベネズエラの国家指導者層への批判をあらゆる機会を利用して止むことなく続けているからである。そして、ベネズエラの反体制派を支援し、政権交代に向けて米国議会にもプレッシャーを掛けているひとりである。

誰が暗殺を指示したか?

 暗殺を指示したのは誰か? ディオスダド・カベーリョという人物であるという。彼はベネズエラでマドゥロ大統領の次に位置づけされている軍人で、国民議会の元議長だった。今回、実施された憲法制定議会選挙でも議員に選出されている。ベネズエラの権力を実質握っているのはマドゥロではなく、カベーリョだと言われている。そして、彼はカルテル麻薬組織のリーダーでもあるとされている。  ベネズエラで憲法制定議会の投票が実施された後、ルビオはベネズエラのテレビ局『Globovision』を通してマドゥロ独裁政治を批判し、原油を安価でキューバなどに提供し、僅かに得た外貨は利息の支払いに充てていると言及した。また、食料や医薬品が不足しているのも全て<マドゥロの僭主政治によるものである>と強く批判した。(参照「Globovision」)  また、米国の上院外交委員会においてルビオはベネズエラのディオスダド・カベーリョを指して、<「これまで見たすべてのことをもとにした私の見解は、彼は単に政治リーダーだけでなく、ベネズエラにおける麻薬密売人でパブロ・エスコバルのような存在だ」>と述べたのである。(参照:「El Tiempo」)  ちなみに、パブロ・エスコバルという人物はメキシコの前にコロンビアが麻薬供給の巣窟となっていた時代にそれを支配していた人物である。  ディオスダド・カベーリョはチャベス前大統領がクーデターを遂行した時に少尉として加わり、その後もチャベスに忠実な部下として仕えていた。当初、チャベスの後継者と目されていた人物だった。マドゥロが後継者に指名されると、カベーリョは国民議会の議長のポストに就いた。軍部を実質支配しているのはカベーリョだとされている。
次のページ
背景に国家ぐるみの麻薬組織!?
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会