日本人は“恐怖”の表情を正しく認識できない!? 治安の良さゆえの傾向か

ネガティブな表情

安心社会に慣れていると、ネガティブな表情を誤読しやすくなるという

 こんにちは。微表情研究者の清水建二です。  本日は、私たち日本人が陥りやすい表情・微表情の誤読について紹介したいと思います。私たちはどんな視点で相手の表情・微表情を見て、どんな誤解をし得るのでしょうか。  まずは次の2つの問題に挑戦して頂きたいと思います。 問1 次の絵文字はどんな感情を意味しているように見えますか? ⇒【画像】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=149170 問1 問2 次の表情はそれぞれどんな感情を意味していると思いますか? 問2 それでは解説です。

目を観る日本人、口を観るアメリカ人

 唐突ですが、ここで絵文字を書いて頂きたいと思います。「笑う」を意味する絵文字を書いて下さい。次に「泣く」を意味する絵文字を書いて下さい。実際に書いて頂くと自分の傾向がわかり楽しめると思います。  おそらく「笑う」は「^_^」、「泣く」は「;_;」あるいは「>_<」のような絵文字を書かれた方が多いのではないでしょうか。ひょっとすると「笑う」を「:-)」「:D」、「泣く」を「:-(」と書かれた方もいたかも知れません。  前者の絵文字と後者の絵文字とでは何が違うと思いますか? 前者が縦から見て、後者が横から見る、という違い以上に大切な視点の違いがあります。それは、表情の変化を目に求めているか、口に求めているか、ということです。実は前者の絵文字は、私たち日本人が書く絵文字です。後者の絵文字は、英語を使用する方々が書く絵文字です。「ありがとう!^_^」「Thank you:-)」といった塩梅です。  実は私たち日本人は目を観て感情を類推する傾向があり、アメリカ人は口を観て感情を類推する傾向にあることが実験から確かめられています。このことを踏まえて、問1の問題を振り返ってみたいと思います。そうすると、日本人は「幸福」とか「笑っている」と答える傾向にありますが、アメリカ人は「悲しみ」と答える可能性が高いのです。  日本人・アメリカ人問わず表情の一部分だけに注目してしまうことは、本当の感情を読み誤ってしまう可能性が高まります。例えば以下の写真の人物は、目が笑っていて、口は泣いている表情をしています。 ⇒【写真】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=149172 表情の例 何か悲しいことを体験した人がいるとします。「もう大丈夫!元の状態に戻ったわ」と笑顔で答えていたとしても、口に抑制しきれない悲しみの感情が漏れ出ているかも知れないのです。実際、自殺意図のある人の表情に、一見「笑顔」の悲しみ表情が観察されることが報告されています。  私たち日本人に対するアドバイスは、目だけでなく口も見よう、ということになります。アメリカ人に対するアドバイスは、口だけでなく目も見よう。ということになります。
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自分自身が恐怖を感じたことが少ないと、相手の恐怖表情も読み取れない
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