韓国のイジメが壮絶! 最終的には親が代理戦争に乗り出す

加害者側の再考請求件数が大幅に増加

 実際に学暴委員会の処分を不服として、加害者側が教育庁などに処分の再検討を請求した件数は、毎年大幅に増えている。韓国の教育部(韓国でいうところの文科省)によると、加害者側による再考請求件数は2012年572件から2014年には901件、そして昨年は1,299件に増加した。  再考要請を越えて法廷へ持ち込む事例も近年急増している。資料によると、学校などを相手にした行政訴訟は2012年には50件だったものの2015年には109件にまで増加し、ここ3年間で二倍以上にもなっているという。  今年3月、悪口を言われたという理由で友達を殴り、学暴委員会から転校処分を受けた女子高生は、先月、行政訴訟の末に転校処分取消しの判決を受けた。しかし、結局元の学校には馴染めず、近くの学校へ転校した。多大な時間とお金をかけても、守れたものはプライドのみ。 結局は何も変わらなかったということだ。  ちなみにこの女子高生の親は「学校が生徒を見捨てるなんて」と学校側を強く批判している。  学暴委員会によって起こる「大人たちの争い」を止めるためには、細かい対策マニュアルが用意されるべきだと専門家たちは指摘する。  親たちが訴訟まで辞さないのには、いじめ問題を扱う学校側に対する不信も影響しているためだ。被害者側は学校がこうした事件を隠蔽するために、加害生徒をかばっていると声を高める。一方、加害者側は学校側が事態の沈静化を急ぐあまり、トカゲの尻尾切りのように、事実関係を正確に把握せず厳重処分を下すと反論している。  事実、現場の教師たちの状況判断能力が低いために、トラブルが起きた際の背景や事柄を理解できず、問題が徐々に大きくなっていくケースが多いのだという。また、専門家は「大抵の教師たちは、いじめやトラブルに巻き込まれたくないと逃避する傾向にある」と指摘している。  日本でも度々いじめなどの問題が生じるたびに、教育委員会が批判の矢面に立たされる場合がある。しかし、日本の教育委員会は韓国の学暴委員会に比べると、首長が委員を選出するだけに、専門性や公平性はある程度担保される。  問題となっているのは、韓国とは全く違った視点だ。  まず、教育委員会がどのようなことをするのか、どのような役割を担っているのか、地域住民にあまり認知されていない。もともと市町村の教育委員会はその地域ごとの特長を生かし、地域住民の意向を反映させるものだが、いまや地域住民との接点がなく、住民から遠い存在となってしまっている。事務方の提出する案を追認するだけで、上意下達を徹底することが職務であると錯覚し、実質的な意思決定を行っていないと、近年では廃止論も主張されているほどだ。  いじめ問題が発覚した際、残念ながらそれを隠蔽したがる学校や教育委員会は存在する。どこの国でも「大人たちの体裁」の代償として、子供たちの倫理観と貴重な青春時代が犠牲になっている。 <文・安達 夕 @yuu_adachi
Twitter:@yuu_adachi
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