テクノ失業する前にAIで伸びる業界に投資しておこう
2017.08.07
産学官が連携し、加速度的に開発が進むAI。人工知能が仕事を奪う“テクノ失業”を危ぶむ声も飛び交うなか、どの分野から先んじていくのか。専門家に聞いた。
政府は6月、新たな成長戦略のテーマに「ソサエティ5.0(第5期科学技術基本計画)」を掲げた。産学官が連携し、AI(人工知能)やIoT、ビッグデータを活用して少子高齢化を乗り越える構想だ。
「大規模な範囲で人工知能の実用化の動きが起こっている。単なるブームから、どう実用的に導入していくのか? 多くの企業で本格的に議論され始めています」
ロボットやIoTの専門メディア「ロボティア」代表の河鐘基(ハジヨンギ)氏は、こう語る。
「法務・税理・採用の分野では、すでに人工知能を用いたサービスの導入が始まっている。最近だとソフトバンクが新卒採用にIBMの『ワトソン』を導入して、エントリーシートの評価に活用することが発表され、話題になりました。これまで人間が目で見たり、頭で考えたりした判断を人工知能のアルゴリズムが行うのです」
テーマ株投資に詳しいカブ知恵代表の藤井英敏氏も、人工知能の可能性をこう述べる。
「暗記する、分析するといった人間の頭脳を使った業務は、いずれAIが追い越していく。いわゆるホワイトカラー業務と言われるジャンルは、人工知能が人間に取って代わる可能性が高い」
人工知能の台頭による“テクノ失業”には不安の声も上がる。が、河氏はこう解説する。
「現段階では、人間の判断材料を人工知能が支援するといった側面が強い。不必要な作業を減らし、経費削減や労働力不足の解消をするBtoBサービスを中心としたAIの活用は、ビジネス的な課題克服のカギといえるでしょう」
では、人工知能でさらなる盛り上がりが期待される最有力業界とはなにか。河氏の分析はこうだ。
「インフラ保全、医療の分野では、市場規模が急拡大することが予想されます」
老朽化インフラの保全は国の緊急課題。政府が掲げた「インフラ長寿命化基本計画」によると、老朽インフラ維持管理市場は’14年には2兆円程度だったが、’20年には16兆円、’30年には33兆円に拡大するという。
「人間による目視点検から、ドローンで集めた画像を人工知能に解析させ、過去の画像と照合して施設の劣化状態を診断する。このような効率化が期待できる」(河氏)
期待感は市場にも反映されている。土木管理総合試験所は、6月に年初来高値を更新したばかりだ。
「道路・軌道の路面下ビックデータ共有システム『ROAD-S(ロードス)』の開発を発表したことが買い材料視されました。インフラの老朽化は世界的な問題。これは将来、大化けが狙えるかもしれません」(藤井氏)
医療分野では膨大な量の論文を人工知能に学習させ、ディープラーニングの技術を用いてCTやMRIなどの画像データから疾患を発見する技術開発が見込める。
「ここでもデータや画像解析を人工知能が下処理をして、医師の業務をサポートする。移動が困難な高齢者や医師不足で診察を受けられない地域に住む患者への遠隔診断も可能にします。また人工知能を使った見守りサービスなど介護でも活用が期待されます」(河氏)
インフラ、医療、音声認識etc.で伸びる業界、廃れる業界
インフラ保全にAIが真価を発揮する!?
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