「ヒアリでの死亡例はない」は誤報!100人とはいかないまでも44人の死亡が確認

堀川大樹

年間100人死亡説は盛りすぎだった

 ヒアリは人間活動にとって大きな害を与える、生物種世界の侵略的外来種ワースト100ランカーだ。ヒアリにはお尻に針をもち、一度に数回刺してアルカロイド系の毒を注入する。日本にはいないタイプのアリだ。刺されると火傷のような痛みを伴うことから、fireantsという名がつけられている。
 今年の6月、そのヒアリが初めて日本で見つかった。まず神戸で確認されたあと、名古屋、大阪、東京、そして横浜でも次々にヒアリが発見され、連日のようにメディアで報道されている。

 ヒアリは人的被害のほか、農作物を荒らしたり、電気系統に入り込んで故障させるなど、甚大な経済的被害を与える。ここまでヒアリに関心が集まるのは、やはり、「殺人アリ」とよばれるヒアリがどの程度の健康被害をもたらすのか、多くの人が不安に感じているからだろう。

 ヒアリは攻撃的で、自分たちの巣が壊されたりすると、襲い掛かってくる。アメリカでは、たびたびヒアリに刺されて死亡するケースが報告されている。2016年には、ある女性が干し草の上で電話をしている時にヒアリの群れに襲われて亡くなった。この女性は、その前の日に亡くなった自分の母親の葬式の段取りをしているところだった。

 ヒアリの被害は、屋内でも起こりうる。1990年には、モーテルのベッドで就寝していた69歳の男性がヒアリの群れに襲われた。吐き気を訴える男性の声に、気付いた妻。妻が電灯をつけてシーツをはがすと、ヒアリの群れが夫の体を繰り返し刺していた。この男性は病院に運ばれたが、しばらくして死亡した。

 また、死亡したケースではないが、老人ホームなどで寝ていたお年寄りがヒアリの大群に襲われ、1000回以上刺されたという報告もある。

 ハチとは違い、ヒアリは音を立てないので、襲われるまで気付くことが難しい。ヒアリは狭い隙間からでも侵入することが可能なので、家の隙間から入ってこれるため、就寝中に襲われることもあるのだろう。もっとも、屋内でヒアリに襲われるケースは、かなり稀のようだが。

次のページ 
誤報の発端は日本語書籍
1
2
4
5
関連記事
6
7