小資本でも参入できる点が魅力の貸し会議室ビジネス。実際に開業するどどれくらいの費用がかかるものなのか。
「私の場合、最初の1室にかけた投資額は50万円でした。内訳は、敷金3ヶ月分に前家賃と保証料をプラスして40万円くらい、残りの10万円でホワイトボード、机、椅子といった備品、ペン、トイレットペーパー、消臭剤などの消耗品を揃えました」
ただし、これはあくまで小さな部屋で開業した場合の話なので、もう少し広い部屋であれば、「100万円程度見ておくと安心」とのことだ。
高額なイメージがあるプロジェクターについては、
「小さい会議室に限って言えば、プロジェクターやWi-Fiは必須ではありません。似た広さの会議室を2室運営していて、片方はプロジェクター、Wi-Fi完備、もう片方は未導入のままなのですが、売り上げに大きな差はありません」
と、必ずしも必要ではないとの考えだ。
実際、利用者の用途内訳は、会議、研修が6割くらいで、残り4割は、アルバイト面接、英会話マンツーマンレッスン、タロット占い、インターネットラジオ収録、ヨガレッスン、手品教室、ボードゲーム大会と多岐にわたる。プロジェクターを必要としない利用実態の様子が伺える。
まさおくんが50万円を投じて開業した貸し会議室1号は、初月はギリギリ黒字。3ヶ月めから稼働が安定して、以降毎月4~6万円程度が手元に残るという。初期投資額は1年で回収済みの計算だ。集客にはスペイシーを利用している。
デッドスペースを活用して備品がストックされていた
利用価格の安さと、スマホで予約できる手軽さを体験することでリピーターとなる顧客も少なくない。
「うちでは利用者の6割くらいがリピーターです。月はじめになると、まとめて予約を入れてくれるのでありがたい存在です。なかには来年まで予約を入れてくれている人もいます。売上予測が立つので助かってます」
これまでに開業した7室の会議室は、いずれも順調であることから、今後も部屋数を増やしていく考えのまさおくん。
「大手の貸し会議室に、わざわざ高い料金を払わなくていい事実を知らない人が、世の中にはまだまだたくさんいます。今後もニーズは増えると考えます」
一方で、慎重な見方も示す。
「参入障壁が低いビジネスなので、いずれ飽和する時が来ます。しかし、それはまだ先のこと。それまではまだチャンスがあると思っています」
民泊で悩みの種となる、法的リスクや、管理の煩わしさといった問題が、貸し会議室ビジネスでは一切ないことから、民泊撤退ホストが転身して参入するケースも増えている。
貸し会議室ビジネスの活況はしばらく続きそうだ。
まさおくん◯千葉県在住のサラリーマン大家。36歳。副業として空き家再生事業を手がけるほか、貸し会議室にも取り組む。貸し会議室開業の相談にも対応する。その他、資産形成のノウハウは、公式ブログ「
ピーナッツ大家の『DIOで空家再生しよう!』」、
facebookで発信中
<取材・文/栗林 篤>
【栗林篤】
元IT企業のサラリーマン。年収300万円以下生活の傍ら、株式投資と不動産投資をはじめて、セミリタイアしてフリーライターに。優待株100超を保有、区分1貸家5アパート1を運用。公式ブログ「
節約×株主優待×不動産投資でセミリタイアしたブログ 」更新中。著書『
サラリーマンのままで副業1000万円』発売中