【雇われない生き方】小さな豆腐屋から見える、地域への付加価値と「定年のない」仕事の幸せ

“買い物難民”の時代、地域に密着した小さな商売の出番がやってくる

「大桃豆腐」も「月のとうふ」も、賑やかな商店街や繁華街にあるわけではない。住宅街にポツンとあったり、人通りがわずかなところにあったりする。しかも相場より2~3倍以上の値段。納得の行くモノを追求すれば、小さいながらもビジネスが成り立つし、幸福度や充実度が高まることを示してくれている。  豆腐に限らない。日本中の個人商店が、大型スーパーや大型ショッピングセンターやコンビニに市場を奪われて衰退した。しかも今後、その構図も保てなくなる。人口増加中のアメリカでさえ、ウォルマートなどの大手ショッピングセンターが撤退を始め、買い物困難になる街が増えている。人口減少が進む日本ではなおさら、その事態はものすごいスピードで襲ってくるだろう。  ドローンや無人自動車が欲しいモノを届けてくれる時代はもうすぐだ。それはそれで便利だし、否定するつもりもない。しかしだからこそ、地域に密着した小さなナリワイに出番が求められてくることも事実だ。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)による進化が進むほど、人間サイズの個性や多様性や関係性のニーズも付随して高まってゆくことに間違いない。人には体温がある。温かみが必要なのである。 <文/髙坂勝> 1970年生まれ。30歳で大手企業を退社、1人で営む小さなオーガニックバーを12年前に開店。著書に『次の時代を、先に生きる~まだ成長しなければ、ダメだと思っている君へ』(ワニブックス)など。
30歳で脱サラ。国内国外をさすらったのち、池袋の片隅で1人営むOrganic Bar「たまにはTSUKIでも眺めましょ」(通称:たまTSUKI) を週4営業、世間からは「退職者量産Bar」と呼ばれる。休みの日には千葉県匝瑳市で NPO「SOSA PROJECT」を創設して米作りや移住斡旋など地域おこしに取り組む。Barはオリンピックを前に15年目に「卒」業。現在は匝瑳市から「ナリワイ」「半農半X」「脱会社・脱消費・脱東京」「脱・経済成長」をテーマに活動する。(株)Re代表、関東学院経済学部非常勤講師、著書に『次の時代を先に生きる』『減速して自由に生きる』(ともにちくま文庫)など。
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