労働時間短縮の裏側で起こっていること「部長、残業しちゃダメですか?」事件簿3連発

事件簿【2】時短は誰のため?

 大手企業ともなると、長時間労働の是正、労働時間の短縮には社を挙げて本腰で取り組むものです。そんな中、時短の推進役を担うのは人事部です。 「手に負えませんよ。こっちは彼らのためにやっているのに」  こう漏らすのは人事部に配属されて5年になるI課長です。このI課長の悩みの種は営業部の社員のタイムカードです。 「全員9時から18時で打刻されているんですよ」  約30人いる営業部の社員全員が必ず毎日9時に出社し、18時に退社したという記録が残されていたそうです。営業部はI課長がいる人事部のはす向かいのビルに入っており、18時過ぎても人がいるのが明らかにもかかわらず、タイムカード上は18時退社となっているのです。不審に思ったI課長が若い営業に声を掛け、聞き取りをしたところ、こんな答えが返ってきました。 「交代制で全員のタイムカードを打刻してるんですよ」  事実を突き止めたI課長はすぐに人事部長に報告し、人事部長から営業部長に厳重注意が行われました。 「俺らが稼がなきゃ誰が稼ぐんだよ」  しかし、営業部長の反発も激しく、話し合いは平行線をたどりました。人事部も18時すぎに営業部に乗り込むなどの抜き打ち検査等で厳しく対処しましたが、会議室やカフェなどに集合して仕事を続行するなど営業部もあの手この手で抵抗を続けました。  幸い、この会社は社長をはじめとした経営層も労務リスクに関する危機感を強く持っており、“長時間労働の是正”に対する意識が非常に高かったため、労働時間を“削る”や“潜らせる”などの営業部長の抵抗はほどなく終わりを告げ、今では適正な労働時間把握が行われているそうです。
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「時短勤務」できない部下が浮き彫りに
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