経営トップが不在となったUber。キーマン入れ替えは吉と出るか

次期CEOが背負う、2つの大きな課題

 問題を抱えながら、急成長を続けたUber。Uber企業価値700億ドルという評価額は、どれくらい大きな数字でしょうか。 「ユニコーン企業」という言葉を聞いたことがあるかと思います。ユニコーン企業は、非上場企業ながら、企業としての評価額が10億ドル以上のベンチャーを指します。いわば巨額の利益をもたらす可能性のある企業です。  Uberの企業価値700億ドルというのは、いわゆるユニコーン企業と分類されるための基準の70倍もの数字。  破格の企業価値。現に、CBインサイツのユニコーン企業価値ランキングにおいて、現在、企業価値で栄光の第1位はUberとなっています。  そんな、10年経たずにここまで「急成長」した会社も、現時点で、CEO、CFO、COO不在という超異例の事態に陥っています。  企業風土の原因とされた創業者CEOが辞任したことで、今後、Uberは企業文化を根本的に変えていこうとしているわけです。  次期CEOには2つの大きな課題とプレッシャーがあります。  1つ:Uberに新たな企業風土を根付かせること。  2つ:Uberをこれまで同様、急ピッチで成長させていくこと。  新規参入も多くある自動車シェアリング市場において、この2つを同時にこなすのは大変な至難の業であるといえます。もうしばらくは厳しい状況がつづくでしょう。  ただ今後新たな剛腕キーマンが登場すれば、数年後のUberは、企業風土だけでなく、新たなビジネスモデルを持つ「新生Uber」になっている可能性はあります。  一方、逆に、シェアを獲られて落ちていく会社になる可能性もあります。ベンチャー企業でのキーマン総入れ替えは、劇薬に近いものがあるからです。 <文/岡本泰輔> 【岡本泰輔】 マルチリンガル国際評論家、Lingo Style S.R.L.代表取締役、個人投資家。米国南カリフォルニア大学(USC)経済/数学学部卒業。ドイツ語を短期間で習得後、ドイツ大手ソフトウェア会社であるDATEVに入社。副CEOのアシスタント業務などを通じ、毎日、トップ営業としての努力など、経営者としての働き方を学ぶ。その後、アーンスト&ヤングにてファイナンシャルデューデリジェンス、M&A、企業価値評価等の業務に従事。日系企業のドイツ企業買収に主に関わる。短期間でルーマニア語を習得し、独立。語学コーチング、ルーマニアビジネスコンサルティング、海外向けブランディング、財務、デジタルマーケティング、ITアドバイスなど多方面で活動中。
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